「『攻撃力』がハンパじゃない。一発、一発が強い」
東洋太平洋バンタム級王者・栗原慶太のパンチ力を、所属する一力ジム・沼田康司トレーナーはこう評価した。
沼田トレーナーは日本ウェルター級、東洋スーパーウェルター級の元王者だ。栗原のパンチは上位階級の元王者からも絶大な評価を受けている。
栗原は、KOが生まれにくい軽量級に分類されるバンタム級で、異例の約86%のKO率(全15勝のうち13KO)を誇るハードパンチャーだ。
確かにパワーもすごい。しかしサンドバッグ打ちを見ると、それ以外にも高いKO率を誇る理由が垣間見えた。
驚異の右ストレートはサンドバッグで磨くI
打撃を当ててから拳を返して擦るように打ちつけている。
この要領で顎を擦るようなパンチを打つことで、相手の頭部を揺らすことができる。
相手をKOするにはパワーだけでなく、「倒す技術」が必要になるが、栗原はこの練習で倒す感覚を磨いてきたという。パワーと技術が相まっての「攻撃力」は世界レベルの相手にとっても脅威になりそうだ。
14日には、井上尚弥の弟で元WBCバンタム級暫定王者の井上拓真と対戦する。自身初となる世界王者経験者との試合だ。
現在IBFで世界ランキング4位に入るが、この試合に勝つことで拓真が持つランキング(WBC7位)も手にすることができる。
「この試合に勝つことで、胸はって『世界にいきます』と言えます」
世界王座に一歩近づくことができるか。試合に注目だ。
栗原慶太(くりはら・けいた)
東京都墨田区出身。27歳。第48代OPBF東洋太平洋バンタム級王者。一力ボクシングジム所属。戦績は20戦15勝13KO5敗。
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