「気づいたら倒している。何が当たったか覚えていない」
そう話したのはWBCライトフライ級チャンピオンの寺地拳四朗。
名前は漫画『北斗の拳』の主人公・ケンシロウから採られたものである。
主人公の決め台詞「お前はもう死んでいる」を思わせる発言だ。
2017年以来世界タイトル8度防衛中(KO防衛は5回)の王者。そのうち4試合はわずか4ラウンド以内に試合を決めている。
通常、軽量級はダメージの蓄積によるレフリーストップでのKOが多いが、拳四朗の場合は、スパッと倒しているのも驚異的だ。
もっとも本人は「試合では判定予定で戦っているし、早く倒そうと思っていない」と話し、KOはあくまでも結果だという。練習でも12ラウンド戦い抜くためのスタミナ強化を欠かしていない。
5ラウンドから7ラウンド、合間に20秒や30秒のラッシュを入れてパンチを打ち込む。
「このサンドバッグラッシュは、試合前の恒例でメンタルの練習です。この成果で試合でスタミナが切れることはない。試合より練習の方がしんどい」
長く防衛するには、節制とハードな練習が必要だ。
現役日本人王者の中で、具志堅氏の13回の連続防衛国内レコードに最も近いのが拳四朗だ。
「今年は10回防衛。来年に13回、そして再来年に14回防衛を目指す」
王座に就いたことに満足せず、高みを目指す拳四朗に死角は見つからない。万全の態勢で試合に向かう。
寺地拳四朗(てらじ・けんしろう)
京都府城陽市出身、29歳、B.M.Bボクシングジム所属、現WBC世界ライトフライ級王者。戦績は18戦18勝(10KO)0敗。現役日本人世界王者で最多記録である8回の防衛に成功している。
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