(写真:時事通信)
10月1日からGo Toトラベルキャンペーンに東京都発着の旅行も対象となり、本格的にコロナ禍で負った経済的打撃からの回復に向けて動きだした日本。
全国の観光地は再び多くの人々であふれ、経済再生の兆しが見えてくるなか、新型コロナウイルスに関する驚きの研究結果が京都から届いた――。
「京都府立医科大学の研究チームが、新型コロナウイルスが皮膚上で9時間生存した研究結果を発表しました。これはインフルエンザA型のウイルスよりも約5倍の生存力になるといいます」(医療ジャーナリスト)
研究チームの一人である同大学院の廣瀬亮平助教は、ウイルスの生存力と感染率の関連性についてこう語る。
「ウイルスの生存時間が長くなるということは、感染する可能性も高くなるということです。ウイルスが付着した場所に手で触れたあとに口や目のあたりを触ると感染しやすくなります。肌に残れば残るほどそのリスクが上がると考えたほうがいいでしょう」
さらに長時間生存することで、ただでさえわかりにくい感染経路がよりたどりにくくなるという。
「手に1時間だけ付着するのであれば、感染のきっかけも認識しやすいのですが、9時間と長い間残っていると、どこからもらったかわからないという状態になってしまいます」(前出・廣瀬助教)
研究結果では濃度80%のエタノールで15秒間消毒することでウイルスが完全に不活化された。廣瀬助教は「長生きするとはいえ過度な心配は必要ない」と語るも、寒さが本格化するこれからの季節、油断は禁物だ。
「これから冬になると湿度や気温も下がり、ウイルスにとって生きやすく活発化しやすくなります。研究でも、高温多湿より低温低湿の環境でウイルスの活動量が上がることは立証されています」(前出・廣瀬助教)
冬場の“感染爆発”を防ぐために何をすべきなのか。感染症が専門ののぞみクリニック・筋野恵介院長は皮膚から目や口などの粘膜にうつさないことが肝要だという。
「全体的に、少し緩んできている印象があるので、気を引き締めてしっかりこれまでどおりの対策を続ける必要があります。
手を洗う際も、できれば手首から肘の上あたりまで洗うほうがいいでしょう。手首と肘の間というのは、意外と触れたりしているものです。手洗いをしたら、さらにその後にアルコール消毒液をしっかり肘まで擦り込むのがいいと思います。また、消毒液はたいていどこにでも置いてありますが、小分けの消毒液を持ち歩くのも有効です」
廣瀬助教は、身に着けた衣服に付着したウイルスの帰宅後の処理が必要だと語る。
「着ている洋服、持っているバッグや荷物、そういったものにも当然ウイルスは付着し、生存しています。なので、着ていたものは自宅に帰ったら洗えるものは洗う。荷物なども消毒をできるだけするということも手洗いやうがいと同じくらい重要といえます」
いまだ収束の兆しが見えない新型コロナ。私たちの根気強さが何よりも重要なようだ――。
「女性自身」2020年10月27日号 掲載