香港の研究者が世界で初めて実証した、新型コロナウイルスの再感染。研究者によると、4月に感染した男性が8月15日に再び感染したという。またベルギーやオランダでも相次いで同様の事例が報告されている。
その要因として取りざたされているのが、抗体。感染後に多くの人が獲得する抗体だが、時間が経つことで消失し、再感染のリスクが高まるというのだ。
元WHO専門委員でハーバード大卒の医学博士・左門新先生は、「抗体が消えていても再感染者は抗体を素早く作れることがある」としつつも、再感染者による感染拡大についてこう指摘する。
「再感染した人が別の人にうつす可能性はあります。発症すればもちろんのこと、発症していなくても喉やつばにウイルスがいるということなので人への感染リスクはあります。
また2度目の場合、軽症になることも多く、無症状で再感染している場合も多いかもしれません。そうなると無自覚に感染を広げる可能性があるので厄介です」
今冬の大規模な感染拡大を懸念するのが大阪健康安全基盤研究所の奥野良信理事長だ。
「再感染を含めて、毎年、大小の波はありつつ継続的に感染が起きる可能性は高いと感じています。ウイルスは熱に強いけど、湿度が高ければ下に落ちます。インフルエンザも最初は夏に発生して、冬に感染が爆発的に広がった。
これから日本は秋から冬にかけて空気も乾燥しますし、インフルエンザの流行もコロナ感染と同時並行で発生することになります。本番は冬になるでしょう」
現時点での日本の累計感染者数は約6万7千人。つまり、この全員が再感染者予備群ということ。無自覚な行動によっては、当然、第3波も起こりうることになる。
その抑止力として期待されるのが総力をあげて開発が進められているワクチンだ。政府は28日、来年前半までに国民全員に提供できる量のワクチンを確保すると発表したが、過信は禁物だ。奥野先生は言う。
「現状、ウイルス感染症で実用されているのはインフルエンザワクチンだけで、それ以外はうまく進んでいないのが実情です。コロナのワクチンにも期待したいですが、本来なら長い時間をかけて開発するもの。完璧に抑えることはできないでしょう」
一度感染してもまったく安心できず、終わりの見えないコロナとの闘い。左門先生は対策として、飛沫感染ばかりでなく、徹底した接触感染への意識が必要だと説く。
「感染経路不明者が5割ほどいますが、実際は接触感染の可能性があります。しかし、これらは限りなく自衛できます。スーパーのかごなどには直接手で触れないこと。また消毒液を携帯し、外出先で何か触ったらそのつど、消毒することを徹底すればいいのです」
そして、何よりも大切なのは“日常生活での意識”だという。
「一度感染したら2~3カ月は再感染する危険性は低いと思いますが、それ以降は油断してはいけません。“2度はかからない”と妄信して、居酒屋を飲み歩いたりしている人は注意が必要です。
むしろ、発症してから3カ月以降は、未感染の人と感染する確率は変わらないので、その油断の分だけ感染リスクは高いかもしれません」
“一度かかっているから自分は大丈夫”。こうした根拠のない気の緩みが取り返しのつかない事態を招くと意識して、今後も慎重な行動を心がけることが第3波を防ぐ唯一の方法なのかもしれない。
「女性自身」2020年9月15日号 掲載