記録的な猛暑がおさまりはじめるとともに、新型コロナウイルスの新規感染者数も徐々に落ち着きを見せている。
7月下旬から8月中旬にかけて連日、全国で1千人以上を記録していた感染者も、8月下旬からは1千人を下回る日が増え、峠は越えたかに見える。
「8月20日に行われた日本感染症学会のシンポジウムでは“医療崩壊が起きる可能性は低まってきた”と分析されるなど、緊急事態宣言解除後に発生した第2波は収束したと見る向きが強いです。政府もGo Toトラベルキャンペーンから除外していた東京を追加する方向ですし、全国の繁華街への人出が8月下旬から急増しています」(社会部記者)
NPO法人・医療ガバナンス研究所の上昌広理事長は、こうした現状に警鐘を鳴らす。
「日本ではお盆休みもあって経済活動も低下したから感染者数も減ったように感じていますが、そこだけを見て『第2波は越えた』と制限をやめようとしている。まさに愚の骨頂です」
全国に緩みが広がるなか、日本からもそう遠くない香港では衝撃の“新脅威”が発見された。
香港大学の研究者が24日、4月に新型コロナに感染し回復した男性が8月15日に再び感染したことを発表したのだ。再感染が実証されるのは世界初となる。
「この男性が再感染したウイルスは最初にかかったものとは違う型で、無症状だったそうです。25日にはベルギーとオランダでもそれぞれ1人が再感染したと発表されました。免疫の効果を疑問視する研究者も増えています」(医療ジャーナリスト)
第2波収束の兆しが見えはじめたなか、浮上した“再感染の恐怖”。その鍵を握るのが、感染後の体内で発生し、ウイルスと闘う免疫として機能する抗体だ。
経営する「のぞみクリニック」でコロナの抗体検査も行っている感染症が専門の筋野恵介院長はこう語る。
「コロナに感染してから1カ月、3カ月と検査していくと、3カ月や半年たって抗体を失った人がいます。症状が軽い人のなかには抗体ができず、免疫がつかない人も多いんです。
そのため、再感染するかどうかは、抗体が作られているか、残っているかで変わります。一度かかったからといって2度目は発症しないという保証はなく、安心できないということです」
また、香港の男性のように初回と異なる型のウイルスに感染する可能性も注意しなくてはならない。
「ウイルスの変異も影響する可能性があります。今のところ日本で発生しているのはヨーロッパ型の変異株なので、インフルエンザのAとBほどの違いはありません。同じウイルスなら2度目は軽症で済む可能性が高いですが、変異していると重症化する可能性もありえます」
「女性自身」2020年9月15日号 掲載