FC琉球から浦和レッズに完全移籍で加入して3年目。考えてチャレンジを続ける小泉佳穂は少しずつできることを増やし、上り詰めてきた。
地道に努力を重ねる26歳が、昨季終盤から力を入れて取り組んでいるのは、キックの質を改善すること。両足ともに種類を増やし、さらに球速を上げるための練習を欠かさない。
「キックは一朝一夕でうまくなるわけではありません。コツコツとやるしかない。自分には自分なりの成長の仕方があると思っています」
FKをはじめ、キックのお手本とする選手を挙げれば切りがない。
身近な存在だったレッズOBの阿部勇樹をはじめ、遠藤保仁(ジュビロ磐田)、中村憲剛(元川崎フロンターレ)、中村俊輔(元横浜FC)らのプレー映像を見て、参考にしている。
すべてはゴールとアシストを増やすためだ。
今季は数字にこだわることを明言し、自らにプレッシャーをかけている。マチェイ スコルジャ監督から求められるのも、得点に絡むプレー。
ただ、いまだ無得点。アシストもない状況である。肝心のフィニッシュに持ち込む形をあまりつくることができず、開幕からリーグ戦4試合に出場して、シュートは5本。本人は冷静に現状を分析し、打開策を見いだしていた。
「僕には僕の点の取り方があると思います。琉球時代に点を取っていた形を考えると、もう少し自分の得意な形に持っていくことも必要なのかなと。チームのバランスを乱さないようにいるべき場所にいることも大事ですが、あえて自分が点を取りやすい位置でボールを受けてもいいと思います」
プロ2年目で決めたJ2初ゴールは、得意の切り返しから意表を突く左足のミドルシュート。続く2点目も同じ中距離から右足でコースを突いた。
2020年はJ2の琉球でキャリアハイの計6ゴールをマーク。クロスボールからのワンタッチゴールもあれば、こぼれ球に詰めた得点もあった。
今季は自ら課題と認識するフィニッシュの改善にも取り組んでいる。昨冬から個人的に新たな試みに着手し、その手応えも得ている。
気になる中身について、水を向けると、本人から予想外の言葉が返ってきた。
「まだ秘密で……」
いつもは理路整然と饒舌に語るタイプが、珍しく言葉を濁した。『極秘トレーニング』の中身は、今季初ゴールを決めたときに明かしてくれるとか。
偶然ではなく、必然のゴールを楽しみに待ちたい。
(取材・文/杉園昌之)
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