「プレシーズンからここまで、チーム全体がいい雰囲気のなかで練習できていたことはすごくポジティブな要素でした。それが開幕戦でも高いモチベーションで試合に入ることができた理由のひとつだと思います。
「スイッチが入って、ギアが上がり、気持ち的にさらにハイになったというか。今まで何度も開幕戦は戦ってきましたけど、どこか違ったんです。それは今シーズンに懸ける思いが強いというのもひとつ……」
「気持ちの高まりに拍車を掛けたのは、ファン・サポーターの声出し応援が本当にすごかったことでした。やっと、こういう雰囲気のなかでサッカーができるのかと、テンションが一気に上がったんです」
「声出し応援が解禁されてからは、いつもすごいと感じていましたが、開幕戦はそれに輪を掛けて声援がすごかった。挨拶したときには、そのすごさに思わず笑みがこぼれるくらいテンションが上がりました。その声援に呼応して、自分のモチベーションやテンションが上がっていくのが分かった。同時に、今年はずっとこのテンションで戦うことができるのか、と嬉しく思いました」
「ファン・サポーターの声も含め、いろいろなプラスαが重なり、こんな感覚でサッカーをしたのは初めてというくらいハイな状態でプレーできました。それもあって、プレーの強度は出せましたが、試合中ずっとその強度を発揮し続けていればいいのかというと、メリハリはもう少し考えてやっていかなければいけないと個人的には思いました」
「1試合やっただけでも、メンタル面、戦術面、フィジカル面と課題はたくさん出ました。チームとしては、ボールロストが少し多くなってしまった印象があります。それも想定していないボールロストが多かった」
「チームとして相手にボールを奪われたとしても、すぐに奪い返せる状況や、守備が整った状態でロストすることは、問題ないと思っています。また、これは監督も言っていますが、カウンターなどでチャンスになりそうなときは(リスクを冒して)仕掛けていくべきだとも思います。
(開幕戦は)それをハードワークでカバーしようと試みましたが、90分、もしくは1シーズンを考えると、(体力的に)持たなくなってしまいます。そうした不確定な要素が増えすぎてしまうと、自分たちが試合をコントロールすることができなくなってしまうので、そこは課題かなと」
「僕もかなりポジティブな要素だと思っています。課題が見つかったことで、そこをチームとして話し合って改善していけばいい。だから、チームとして伸び代しかないと捉えています。伸び代が見えてないときのほうが一番、難しいですからね」
「相手の攻撃を限定して、相手のビルドアップで何かをさせたようなシーンはなかったので、プレッシングのひとり目としての仕事はこなせていた実感はあります。けど、そのあと、どれだけチームとして高い位置でボールを奪えていたかというと、まだまだ奪い切れていない場面も多かった」
「攻撃はチームとして発展途上なので、ここから形ができてくると思います。ただし、重要なのは、そうした形を追い求めつつ、勝ち点を拾っていかなければならないということ。だからこそ、大切になってくるのが、個人の質。それは、自分自身がステップアップしていくためにも求められているところだと考えているので、そこはチームに対してではなく、自分自身に課していきたい」
「シュートやラストパスです。能力的にそこが足りないとは思っていないですが、試合でどれだけその回数を増やせるか。試合の緊張感やプレッシャーのなかで、練習でできていることをどれだけ出せるかだと思っています」
「プロになって、できるプレーが増えてきているのは間違いないと思います。一方で、できることが増えた難しさも感じています。例えばですが、できることがひとつしかなければ、それを選択するしかない変わりに、そこへの濃度も高くなりますよね。
「頭で考えているうちは、いいプレーはできないので、頭で考えていることが練習のときから反射的にできるようになると、ようやく試合でも出せるようになるかなと」
「サッカーだけでなく、新しく取り入れる、取り組むことが最初からできないことって誰にでもありますよね。それと同じで、繰り返すことで成長していく。この作業は個の部分でも、サッカーを始めてからずっとやってきていることです。それができない人は伸びないと思っていますし、できる人は伸びていくとも思っています」
「だから、今年の個人的な目標は、数字を残すこと。ゴールとアシストの数がすべてだと思ってやろうと考えています」
「というのも、今まではそこにあまり頓着していなくて。今まではチームが勝てば、それでいいと思っていました。今もその思いに変わりはないですけど、チームが勝つためには、僕自身が数字を残すことが必要なのかなと。そこに取り組む、目を向けなければいけないときが来たのかなと思っています」
「自分が数字を残すことが、チームの勝利につながると思っています。だから、チームを勝たせる手段を自分に向けてみようと思ったんです」
(取材・文/原田大輔)