背番号の「12」には、特別な思い入れがある。浦和レッズの加入会見でも明かしていたが、妻となるフランシエレさんと出会った記念日。チアゴ サンタナはふと昔を思い出すと、相好を崩した。
「僕にとっても、妻にとっても(10月12日は)大事な日なんです。背番号12にしたときは、妻も喜んでくれました」
ブラジルで入籍したのは13年前になるが、結婚式を挙げたのは2022年12月。妻とおそろいの大きなゴールドにダイヤが散りばめられた指輪は、自慢のアクセサリーである。結婚式を挙げた記念でつくった特注品だ。
こだわりはイヤリングにも垣間見える。「T・S(チアゴ サンタナ)」のイニシャル・イヤリングもゴールドとダイヤで輝く。
「ゴールドとダイヤは好きですね。高価かもしれませんが、一生使えるものですから」
ただ、豪華なアクセサリー以上に大切なものは家族。清水エスパルス時代からポルトガル語の通訳を務め、公私ともに仲の良いルイス メイレレス氏はチアゴ サンタナの素顔をよく知っている。
「家族愛にあふれていますね。いつも奥さんや子どもたちのことを考えています」
来日は4年目。浦和に加入してからは、今まで以上に日本語の勉強に興味を示している。
「『今の単語は日本語で、どう言えばいいの?』と聞かれることが増えました。最近では『難しいという日本語を教えてほしい』って。チアゴは日本人とも、他の外国籍選手とも、みんなとコミュニケーションを取ろうとしています。仲間を大切にするタイプなんです。
彼がもっともよく使う日本語は『ありがとう』。いつも感謝の気持ちを言葉で示そうとします。ストライカーはエゴイストな人が多いとも言われますが、彼には当てはまりませんね」
レッズではまだゴールを奪えていないが、『ありがとう』の気持ちを忘れずに辛抱強くチャンスを待っている。開幕から5試合、得点に恵まれなかった昨季は12ゴールをマークした。きっかけ一つで大きく変わる。家族と日本をこよなく愛する点取り屋は、そろそろ爆発するはずだ。
(取材・文/杉園昌之)
外部リンク