「悔しかったですね……」
「アピールが足りなかったのか、まだ信頼されていないのか……。どれくらいメンバーが変わるのかと期待していたので、ベンチ入りできて嬉しいというより、悔しさのほうが大きかったです」
「ボランチも悪くはないが、トップ下のほうが動きは良かった、と。前からのプレスも、シュートもいいものを持っている。そういうものを出すにはトップ下のほうがいいんじゃないかって。なるべく落ちないでほしい、ボールにはいっぱい関わってほしいとも言われて。スペースの見つけ方や1トップとの連係、裏への抜け出しについても話がありました。そこまで言ってくれるということは、監督は自分をトップ下で使いたいんだなって」
「そこで、トップ下で試合に出られるチャンスがあるなら、トップ下に挑戦しようと気持ちが定まったんです」
「ここまで準備はしっかりやってきたので、出番が来たらやってやろう、と思いましたね」
「決められる自信があったので、『スルー』と言いました。イメージとしてはワンタッチで打ちたかったんですけど、前にアキくんがいたのでツータッチに変えたんです。アキくんも咄嗟によくスルーしてくれたと思います。映像を見返すと、相手DFがアキくんに釣られたからトラップする時間が生まれたと思うし、トラップもいいところにボールを置けた。すべてがうまくいったゴールでした」
「居残り練習をまったくしないわけでも、居残り練習を否定するわけでもないんですけど、プレッシャーがないなかでシュートを決めても現実味がないというか。練習中に流れのなかでシュートを決めるほうが実戦に近いし、監督やチームメイトが見ている前で決めたほうが信頼を得られる。昔から、そう思ってやってきました」
「トレーニングでお金を取れる選手になれ」
「練習で観客を沸かせられるくらいのプレーをしろ、と。これが見られるなら、お金を払ってもいいと思ってもらえるくらいのプレーを練習で見せろ、と曺さんは言うんです。その通りだなって。それくらいの集中力やクオリティを出すのが一番のアピールになるし、成長できると思うので」
「いつもはみんなと一緒に周るじゃないですか。自分はチームに貢献できていなかったから、複雑な気持ちになることもあったんです。『お疲れさまー』という声が聞こえても、自分は何もしてないけどな、と思ってしまったり、自分のことなんて誰も見てないんだろうな、とネガティブになってしまったり。でも、初めて自分のゴールで勝って、ひとりでスタジアムを周って、こんなに応援してくれている人がいるんだって。嬉しかったですね」
「優太が『おめでとう。近くで喜びたかったな』と言ってくれて。ACLで僕が点を取ったとき、優太のアシストだったんですよ。そのときの話もして。優太は……いいライバルですね。大学4年間一緒にやってきて、もともと同じポジションだったんです。(昨冬、一緒に短期留学した)優太がデインズに引っ張られたということは、自分よりも優太が評価されたということ。その事実をしっかり受け止めて、自分はここでもっと成長しようと思っています。優太も頑張っているんで、自分ももっと頑張らないと」
「高い位置のボランチだと思えば、いつもどおりの感じでプレーできると思っています。ボランチと同じようなプレーをひとつ前でやるイメージ。そのうえで、シュートや裏抜けも狙っていく。ボランチとしての自分は攻撃も守備もできると思っているんですけど、逆に去年は、何が強みかうまくアピールできなかったなって。そこは自分の見せ方が悪かった。今年はひとつ前に上がるぶんゴールが近くなるから、シュートを強みにしていきたい」
「オギ(荻原拓也)からボールをもらってドリブルして、裏に出そうとして相手に当たったシーンがあるんですけど、あそこは打っていいんじゃないか、と。もう1回打ってから、パスを選択するなり、違うことを考えろって。そこで打つ意識がないと、相手はラインを低くしたままで変化がないぞ、と言われて、なるほどなって。
「めちゃくちゃ嬉しかったですね。慎三さんは去年、期限付き移籍をされていたから、僕のプレーはほとんど知らない。キャンプからの短期間で自分の良さを分かってもらえたんだと思うと、モチベーションがグッと上がりましたし、やり続けてよかったなって」
「本当にここからなので。あのゴールに満足せずに。大事なのはこれを続けていくこと。まずここから5試合、セレッソ戦のようなパフォーマンスをコンスタントに出して、監督の信頼を掴みたいと思います。だから今日の練習も、一切手を抜かず、しっかりやろうという気持ちで臨みました」
(取材・文/飯尾篤史)