「今季はチームの主軸になりたい」
勝負の大卒2年目。安居海渡は、不退転の覚悟を臨んでいる。
ルーキーイヤーはリーグ戦で6試合に出場したのみ。満足できる1年目ではなかった。
昨年11月、シーズン終了後には武者修行を兼ねて、チームメイトの宮本優太らとともにベルギー2部リーグのKMSKデインズに練習参加。ヨーロッパの本場で大きな刺激を受けて、帰ってきた。
「ベルギーでプレーする選手たちは身体能力が高かったですし、体の使い方もまったく違いました。グラウンドコンディションも良くなくて、あのピッチに慣れれば、“止める・蹴る”の技術が上がると思いました」
今冬、流通経済大学から切磋琢磨してきた同期は、現地のベルギーで認められて期限付き移籍。ポジションこそ違うものの、意識しないわけがない。
「優太は引っ張られて、僕には声がかからなかった。優太のほうが評価されたということだと思います」
複雑な表情を浮かべ、ふと漏らした言葉には悔しさがにじんでいた。
リーグ開幕から2試合はベンチ外。メンバーにも入れずもどかしさを抱えているが、練習場では自分としっかり向き合っている。
ふと同期の宮本のことも頭に浮かべる。
「優太は試合に絡めなくても、いつも練習で手を抜かずに全力を尽くしていました。きっとベルギーでもそうだと思います。僕もそこを見習わないといけない。
今、マチェイ監督が僕をどのように評価しているのかは分からないですが、ピッチ内で声を出し、周囲を動かすことを意識しています。練習参加したベルギーでも、そこがまだ足りないと感じたので」
チーム内には良いお手本がいる。岩尾憲の明瞭なコーチングは参考になるという。
攻撃時は中盤の底からゲームを組み立て、守備時はプレスをかけるタイミングを的確に指示。何よりも仲間から厚い信頼を寄せられている。
「盗めるものは、盗んでいきたいです」
伸び盛りの23歳。積極的なトライに躊躇はない。守備の強度も高ければ、スタミナも申し分ない。前線に絡んでいく攻撃力にも自信を持つ。ミドルシュートにも磨きをかけており、今季はよりゴールを意識している。
「積極的に狙っていきたいと思っています。どんどんチャレンジして、アピールしていくつもりです」
チームは開幕から2連敗。厳しい現状を打破する起爆剤が必要かもしれない。活力にあふれるボランチは、虎視眈々とチャンスを窺っている。
(取材・文/杉園昌之)
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