J1リーグの開幕戦を間近に控え、大卒ルーキーの安居海渡は胸を高鳴らせている。
「自分がどこまでできるのかが楽しみ」
充実したプレシーズンを過ごしたこともあり、22歳の言葉には自信があふれていた。
プロの環境でも球際では負けず、中盤からパスを配ることができている。ボランチの位置からゴール前に顔を出し、シュートを狙うプレーにも手応えを得ている。
ただ、FUJIFILM SUPER CUP 2022ではベンチ入りしながらも出場機会はなし。流通経済大学の同期でもある宮本優太がひと足先に公式戦でプロデビューを飾る姿を見て、大きな刺激を受けた。
「『おめでとう』と伝えましたが、正直、悔しい気持ちはありました」
ベンチに座りながら、同じボランチのプレーは観察していた。岩尾憲のリーダーシップの取り方、柴戸海のボール奪取はあらためて参考にする部分があったという。
「開幕戦のピッチには立ちたいです」
2月19日に対戦する京都サンガF.C.は、安居にとっては特別な相手。浦和学院高等学校時代の同期である田中和樹(法政大学出身)をはじめ、流通経済大学の先輩であるアピアタウィア久、同大のコーチだった曺貴裁監督らとは旧知の間柄。
「和樹とは『またピッチで会おう』と約束していたんです。アピさんとチョウさんには成長した姿を見せたい」
大学時代には曺貴裁監督から言われ続けたことがある。
「ボランチの位置からシュートを狙えるようになれば、もっと怖い選手になれる」
すでにサンガスタジアムのゴールにミドルシュートを叩き込むイメージはできている。
そして、誰よりもプロデビューを心待ちにしている父親の期待にも応えるつもりだ。
ときには厳しい言葉もかけられるが、幼い頃から的確な助言をもらってきた。スーパーカップでは、ベンチの裏でウォーミングアップする姿までチェックしていたという。
「父は僕が試合に出るんじゃないのか、とワクワクしていたみたいですね。まずはピッチに立っている姿を見てもらいたい」
ただ、デビューするだけではない。「チーム全員で勝ちにいきます」。記念すべき日は、必ず白星で飾ることを誓っていた。
(取材・文/杉園昌之)
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