噂には聞いていたが、想像以上だった。大卒ルーキー、安居海渡の出不精のことだ。
「本当に外に出ないんですよ。ずっと寮の部屋にこもっています。2日間オフだったときも、ずっと部屋の中にいました(苦笑)」
室内ではもっぱらゲームをすることが多いが、YouTubeの視聴時間も長いという。
「いろんなYouTuberの動画とか、海外のスーパープレーとか、そういうのをよく見ています。あと、YouTubeで音楽を流していることもあります。日本のヒット曲、洋楽、韓国の歌、なんでも聴きますね」
実家で暮らしていたときも、大学時代に寮に住んでいたときも、完全なるインドア派。そんな安居のライフスタイルをチームメイトも知っているから、アウトドアへと連れ出されることもほとんどない。
「誘われたら行くんですけど、誘われることはほとんどないし、自分から誘うことはまったくないので(苦笑)」
もし、外に出ていくとしたら何をしてみたいか。屋外で趣味を見つけるなら、どんな趣味がいいか。そう尋ねると、安居は困り顔を浮かべた。
「えー、なんですかねぇ……。周りの人たちはゴルフをやっていて、クラブハウスでよくゴルフの話をしているので、いずれはやってみたいなって思うんですけど……。性格上、あまり合わないだろうなとも思うし……」
しばし考え込んだ安居は、ふと思い出したように「あ、釣りはやってみたいですね」と口にした。
昨年、部長の西大伍を中心として、汰木康也、明本考浩らが浦和レッズ釣り部を発足させた。しかし、西と汰木が移籍したことにより、今や活動停止中。安居が加わって釣り部を再始動させるのもいいかもしれない。
「いや、釣りってひとりでできるじゃないですか。だから、釣りがいいかなって」
なるほど、生粋の“ぼっち好き”ということか。
インドア派は、オフの日も出歩かずに体を休められるわけだから、アスリートとしては決してネガティブな要素ではない。
浦和レッズのOBである長谷部誠も、ひとりの時間を大切にしていたというが、安居もそういうタイプなのかもしれない。孤高のボランチの系譜、ここにあり――。
(取材・文/飯尾篤史)
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