プロフットボーラーとして、与えられた仕事は100%の力で遂行する。アレクサンダー ショルツの流儀である。
11月12日のヴィッセル神戸戦は本職のセンターバックではなく、右サイドバックとして先発出場。キャプテンの酒井宏樹が右膝半月板を手術したときから、事前にオプションの一つとして、起用の可能性を伝えられていたという。
トレーニングでは特別な準備はしていなかったものの、試合当日に驚くことはなかった。
「クロスボールをあげられたときの対応など、求められたのは守備的な部分の仕事。自分のできることをトライした。監督から『右サイドバックで使う』と言われれば、私はそこで働くだけです。試合前は、そこでプレーできる選手が限られていたので、今回の判断は、悪くなかったと思います」
9月のYBCルヴァンカップ準々決勝・ガンバ大阪戦でも試合途中から右サイドバックで出場しており、ビルドアップを含めてスムーズに対応。最後まで必死に体を張り、すべての力を出し尽くした。
神戸戦の敗戦でリーグ優勝の望みは完全に断たれたものの、表情を変えることはなかった。
「まだ3位になるための仕事があります。可能な限り、上位を目指していく」
今季は副キャプテンを務め、チームのまとめ役も担っている。シーズンを通して、パフォーマンスを落とすことなく、最終ラインのリーダーとして堅守を支えてきた。
デンマークのFCミッティランから浦和レッズに加入して3年目。浦和での生活にも馴染み、日本の文化と歴史をこよなく愛する。
センターバックとして脂が乗っている31歳は、チームの主軸としての自覚を持ち、クラブの未来についても言及する。
「残りの試合は、今季だけのことを考えるのではなく、大きな絵を描きながらプレーしないといけないと思っています。(リーグ優勝の可能性が消えても)私のモチベーションに影響することはないです」
もちろん、リーグ戦の結果には満足していない。以前から呪われているくらいドローが多いと話していた。勝ち点の取りこぼしがあったことも素直に認めている。
AFCチャンピオンリーグ、ルヴァンカップを並行して戦う過密スケジュールには苦しめられたが、そこについてはあえて口をつぐんだ。
「あとから言い訳するのは簡単です」
次のゲームは11月25日。対戦相手は、ルヴァンカップ決勝で敗れたアビスパ福岡。ホーム最終戦となる33節は、プロとしての誇りを持ち、勝利をつかみにいくつもりだ。
(取材・文/杉園昌之)
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