「自分が何とかしなければならない、チームを勝たせなければいけないという思いが、自然とプレーに表れた結果でした。ゴールを決めたあとの、僕の喜びようを見てもらえれば、きっと分かってもらえたかと思います。ゴールを決めた瞬間は、自分の感情が解放されたような気持ちでした。なぜなら、埼スタは自分たちのホーム。絶対に勝たなければいけないと思っていました」
「ファン・サポーターの素晴らしいサポートですよね。これは札幌戦に限ったことではなく、毎試合、思うのですが、あの壮大なファン・サポーターからのサポートに対して、自分はその感謝をどうにかして返すことができないかと、常に考えています」
「それはきっと、試合に勝つことだとも思っています」
「自分たちの攻撃のテンポを上げようと、右へ左へと、ボールを動かして、スピーディーな展開にしようと考えていました。ただ、試合当日は雨が降っていた影響もあり、ピッチが多少、重い傾向がありました。そうした状況でも、自分たちから崩れることなく、忍耐強く、焦れることなく戦わなければいけないと思っていました」
「中央でボールを奪ったとき、タカ(関根)は相手陣内の深い位置にいたのですが、そのタイミングで戻ってきてくれたので、パスを選択しました。自分がそこからさらに前に出るのは、かなり勇気のいるプレーですが、チームとしてなかなか決定機を作り出すことができていなかったので、自分が前線に駆け上がっていくプレーが変化を生むのではないかと判断しました。
「タカにパスを出したとき、同じマインドを持ってくれていたからゴールが生まれたと思っています。あそこでタカがボールを下げてしまっていたら、自分が駆け上がったプレーは意味を持たなくなってしまいます。
「まずはチームの規律やバランスを重視することが第一だと思っています。でも、これから多くの試合を戦っていくなかでは、相手が全体的に引き気味になり、守りを固めてくることもあるかもしれない。そうしたときには、ときにチームの戦術から離れ、予想外、もしくは相手にとって不確定な要素を生み出すプレーというのも必要になってくると思います。
「マリウスとは、言語も近いこともあり、やりやすさはあります。彼はシンプルなプレーを選択してくれるので、一緒にプレーする僕としては合わせやすい。受けてきたサッカーの指導も近い感覚があるので、彼が選択する一つひとつのプレーに対して、自分も理解できることが強みだと思っています」
「札幌戦では、彼自身もゴールを決めてくれたので、自分もハッピーでした。これまでもフリーキックやコーナーキックなどで、あと一歩でゴールというようなシーンを作り出していましたからね。それがようやく結果として実ったことは、自分のことのようにうれしかった」
「今では声を掛け合わずとも、お互いに動くことができるようになってきています。彼がどこにいるのか、どんなプレーをするのかも明確に分かるようになっています。それくらい今、互いに100%信頼できています」
「UNITED」——。
「組織としての一体感が増しているところに強みを感じています。そこには、一人ひとりが努力を惜しまず、日々の練習に取り組んでいることが理由としてあると思っています。今の我々は少しの時間も無駄にすることなく、前に突き進んでいこうとする力がある」
「今のチームを褒めるのは、まだ時期尚早だと個人的には思っています。シーズンが終わりに近づく半年後、どれくらい自分たちが、今の自分たちよりも成長、向上できているか。そこに目を向けてやっていきたいと思っています。評価するのはそのときでいいと思っています」
「浦和駒場スタジアムも素晴らしいスタジアムですが、埼玉スタジアムでの試合は、もはや自分にとってはノスタルジーすら感じる場所になってきています。あの雰囲気が、チームのマインドをより攻撃に向かわせてくれる。あのファン・サポーターを前にしたら、勝利という結果を届けなければいけないというマインドに自然となりますからね」
(取材・文/原田大輔)