2020年度の日本ボクシング年間表彰で「新鋭賞」を獲得した三代大訓(みしろひろのり)。
昨年12月、元世界王者・伊藤雅雪とのライト級戦で勝利し、今後の活躍が期待されている。
伊藤戦では前半からジャブが冴え、ペースを掴んだことが勝利に結びついた。
パンチを当てるのに大事なことは「速さ」よりも「タイミング」だ。どんなにスピードがあっても、予備動作で相手に悟られれば簡単に避けられてしまう。
三代は相手にとってタイミングが取りづらい、ノーモーションでの打撃が特長だ。
左手で放つジャブに注目。脱力から予備動作なく放たれるため、見ていてもいつパンチが出るか分かりづらい
相手からすれば、気づいた時点でもらっている言わば「消えるジャブ」。伊藤戦ではそれを「全体を通して当てられた」と語り、手ごたえを確かなものにしている。
現在はシャドーボクシングでもジャブを中心に組み立てているようだ。力まず、脱力を意識することで自然なパンチが出せている。
「下腹部と下半身でパンチを飛ばすようなイメージで打ちます。ハンドスピードはないですが、見えづらく、速く感じるパンチを打っています」
伊藤に勝ったことで、一気にライト級の注目株に躍り出た。
「今年で国内の試合を卒業したい。その最後は(国内ライト級でNo.1の)吉野選手との戦いで締め括りたい」
世界的に層が厚い階級で上を目指す強気な発言も出た。盛り上がりを見せる中量級の戦いに注目だ。
三代大訓(みしろ・ひろのり)
島根県松江市出身、26歳、ワタナベボクシングジム所属、第44代OPBF東洋太平洋スーパーフェザー級王者。戦績は12戦11勝(3KO)1分、2020年度ボクシング年間表彰で、顕著な活躍を見せた若手選手に贈られる、プロ部門「新鋭賞」を受賞。
【木村悠「チャンピオンの視点」】