イギリスで、誕生日デートに夢中の母親が1歳の女児を放置して餓死させた事件が起き、先月おこなわれた裁判で、懲役9年の実刑判決が下された。
2019年12月、英サセックス警察は、バーピー・クディ容疑者を過失致死の容疑で逮捕した。
クディ容疑者は、シングルマザー。生活は困窮しており、支援団体「YMCA(キリスト教青年会)」によるサポートを受けながら生活を送っていた。
しかし、母親としての自覚のなさが、取り返しのつかない事態を招いてしまう。
2019年12月5日は、クディ容疑者の18歳の誕生日だった。この日、容疑者は自宅から遠く離れたロンドンで彼とともに過ごしていた。娘の姿はなかった。自分が幸せなひとときを過ごす一方、娘は自宅に置き去りだった。
容疑者は、翌日もドーナツを食べるなど、のんびりと過ごすと、7日はファンである音楽グループのコンサートに参加。
9日には、友人の誕生日パーティーに出席するため、100数十キロ離れたコヴェントリー市を訪れた。10日には再びロンドンに戻り、友人の家に泊まっている。
そして12月11日、ようやく自宅に戻ったところで、ぐったりと倒れていた娘を発見する。
「娘が起き上がらないの!」と緊急連絡をいれたが、すでに手遅れ。その後の調査で、脱水症状と飢え、さらにインフルエンザによる衰弱が死因と結論づけられた。
気が動転していた容疑者は、このとき「この娘、朝から具合が悪かったみたいで……。バナナとミルクを飲んだ後に眠りこんじゃったの」と、言い逃れした。
しかし、警察が監視カメラを確認した結果、12月5日から6日間も家を空けていたことが発覚し、そのまま逮捕された。
若き母親が犯した過ちについて、親子を支援していた団体にも非難が集まっている。スタッフは、近くに住んでいたにもかかわらず、家の様子を確かめなかった。それ以前も、1週間のうち2時間ほど機械的なサポート業務があるだけだったという。
団体の担当者は「母娘の生活について、日々、事細かに把握しているわけではなかった」と語っている。
この事件についてSNSでは、
「18歳でも、法的に罪を償わせることが大切だ」
「9年間で、はたしてどこまで更生できるのか」
などの声があがった。子供のまま親になってしまった悲劇だった。
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