「あまりにもひどい男だ」と判事は眉をひそめた。イギリスで逮捕された男は、200を超える前科をもつ連続窃盗犯だった。その犯歴もさることながら、容姿がボリス・ジョンソン首相(57)にそっくりだったことから、大きな話題になっている。
9月28日、イギリス東海岸のカフェに2人組の男がやってきた。ごく普通の客を装っているが、実は、数多くの犯罪歴をもつ窃盗犯だ。
そのうちのひとり、ジェイソン・ワトソン容疑者(43)は、これまでに210件もの前科があり、そのうち148件が窃盗だという。2020年1月に懲役4年を言い渡され収監されたが、犯行の1カ月ほど前に釈放され、自由の身になったばかりだった。
ワトソン容疑者は、相棒の男とともに店内をさすらっていた。カウンターに近づいたとき、相棒は近くにあったハンドバックを奪い、そのまま走り去った。後に続くように、ワトソン容疑者も全力で逃げていった。
ハンドバックのなかには、約20万円の現金が入っていた。休暇で店を留守にしていたオーナーが、運営資金としてスタッフに渡していたお金だった。現金のほかにも、キャッシュカード、高級ブランドのイヤリングなどが入っており、被害総額は35万円におよんだ。
だが、あまりにも犯行が大胆すぎて、2人はあっさりと逮捕されてしまう。
その後、相棒の男にも96件の前科があり、その大半が窃盗だと判明。2人はこれまでも共謀し、44件の窃盗をおこなっていた。
11月2日、2人に懲役10カ月の判決が言い渡された。ワトソン容疑者は前回の収監を経て薬物依存から抜け出すことに成功していたという。新たな人生を歩もうとした矢先の犯行に、弁護士は「彼は再び護送車で運ばれる選択をした」と無念そうに語った。
裁判官もその犯歴にふれ、「あまりにもひどい。懲役刑以外に値することはない」との言葉を残している。
実は、この事件が大ニュースとして報じられたのは、別の理由がある。ワトソン容疑者のマグショット(逮捕後の人物写真)が、ジョンソン首相にそっくりなのだ。
海外メディアは「200の前科をもつボリス・ジョンソンの “偽物” が刑務所に逆戻り」との見出しで事件を報じ、「ブロンドで、みすぼらしい髪型がジョンソン首相に酷似」と評している。
ニュースサイトのコメント欄には、
《もうちょっと太ればジョンソンの影武者になれよ》
《14歳離れてるけれど、実は生き別れた兄弟なのかも》
《よくみると鼻の曲がり具合が違うね ボリスの鼻は曲がってないよ》
などのコメントが寄せられている。顔は似ているが、2人の立場は、首相と連続窃盗犯と、あまりにも異なっていた。
写真:英ハンバーサイド警察提供
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