10月7日、米国カリフォルニア州で、“ステルシング” が違法となった。ステルシングとは、セックスの最中に相手の同意なしにコンドームを外してしまうことだ。
ステルス戦闘機などに使われている「ステルス」という言葉には、「内密に」「こっそりと」という意味がある。
ステルシングという言葉は近年になって使われるようになったが、この行為は、パートナーに望まない妊娠、病気の不安を与えるだけでなく、裏切られた、という思いを植えつけてしまう。
プライベートな空間でおこなわれる行為にもかかわらず、議会が満場一致で可決した。アメリカではこれまでニューヨークやウィスコンシンで議題に上がったが、可決されることはなかった。
先進的なカリフォルニアならではだが、今後はステルシングは民事訴訟の対象として、相手を訴えることができるようになる。法案を起草した議員は、今後、他州にも広げていきたいと語っている。
アメリカ国立医学図書館に報告された2019年の調査によると、女性の12%がステルシングの被害にあい、10%の男性がこっそりコンドームを外した経験があるという。
またオーストラリアの調査では、男女それぞれ1000名強のうち、女性の32%、男性の19%がステルシングを経験していた(2018年)。
言葉は新しくても、行為による問題は早くから存在していた。海外ではすでにドイツやイギリス、シンガポールで違法となっている。
その他の国でも、起訴されたり、有罪判決を受けたケースが出ている。10月8日にはオーストラリアのキャンベラでもステルシングを性的暴行とする法案が可決された。
日本では馴染みのない言葉だが、同意なく避妊具を外すことは、道義上、許されない行為であることは覚えておきたい。(取材・文/白戸京子)
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