無礼者に天罰がくだった。南アフリカで発見された遺体は、ゾウに踏み殺された密猟者だった。
事故は、南アフリカの動物保護区・クルーガー国立公園で起きた。10月21日、密猟者の違法行為を取り締まる保安部隊は、広大な公園の一角で無惨な姿となった男性の遺体を発見した。
男性は複数のメンバーとグループになって密猟していたが、遭遇したゾウに踏み殺されてしまった。男性以外のメンバーはその場から逃走したとみられている。
遺体のそばには男性のものと思われる携帯電話が落ちており、ほかのメンバーの身元を特定するため、警察に手渡された。登録された番号から、密猟者が一網打尽にされる可能性もある。
クルーガー国立公園は、日本の四国に相当するほどの広大な土地をもち、哺乳類だけで約150種が生息する世界有数の動物保護区だ。近年では、密猟による深刻な被害で知られている。
とりわけ影響を受けている動物がサイだ。発表によると、過去10年で同公園のサイは70%も減少し、現在は4000頭を切っているという。
密猟者は、ゾウやサイの角を目当てに密猟にくる。角は薬の原料や彫刻の材料として重宝されることから、中国やベトナムを中心に輸出され、大きな利益を生む。
同公園は、パトロールの強化やドローンの導入など、密猟対策に力を入れており、近年は逮捕者も増えている。10月21日の発表では、今年だけで22人の密猟者が逮捕され、昨年の同時期17人に比べ、大幅に逮捕が増えている。
とはいえ、こうした逮捕は氷山の一角。密猟者の多さから、今回同様の事故は数多く報告されている。
2019年には、密猟者がゾウに踏み潰されたあと、ライオンに食べられた。2020年には、ライオンが密猟者を噛み殺している。失踪後、レスキュー隊によって捜索が続けられ、3日後に男性の頭部のみ見つかったという。今年の上旬にも、やはり密猟者がゾウに踏み潰されて死亡している。
悪巧みをする人間でも、決して踏み入ってはいけない領域があるのだ。
外部リンク