10月20日、米マサチューセッツ州フランクリン郡上級裁判所は、八柳里枝容疑者(50)に最大12年の懲役刑を言い渡した。罪状は、傷害罪だ。
八柳容疑者は、同州マウント・ホリヨーク大学で芸術とアジア文化を教える教授だった。2005年に知り合った同僚の女性教授と親交を深め、次第に好意を抱くようになった。
想いが一線を越えたのは、2019年のクリスマスイブだ。離婚したばかりだった八柳容疑者は、12月23日、心の救いを求めて女性の自宅へ向かった。
家に到着すると、女性はドアを開け、八柳容疑者を招き入れた。容疑者は思いを伝えたが、女性は受け入れてくれない。失意の容疑者は、突然、握りしめていた棒で女性の背後から襲いかかった。抵抗する女性に対し、その場にあった火かき棒や石、ハサミなどを使い、執拗に痛めつけた。
女性は、警察の捜査に「まさに、心と体への『拷問』でした。いつ死んでもおかしくない状態だった」と振り返っている。結局、女性は八柳容疑者に「わたしもあなたを愛している」と愛を語ったことで、事態は収束する。拷問のような仕打ちは明け方4時まで続いたという。
「クリスマスイブの拷問」が終わると、現場に救急隊が到着し、八柳容疑者は逮捕された。女性は全身を刺され、顔面などを骨折する重症だった。
公判で女性は、「あの夜は心と体に大きな爪痕を残しました。経済的な被害もあり、いまでも苦しみは続いています。私のプライバシーやキャリア、人生そのものが犯されたような気持ちです」と苦しみを吐露した。顔には神経損傷が残り、いまも2本の指が機能しない。毎晩悪夢を見て、頭痛に悩んでいるという。
容疑者の弁護人は、前科がなかったことや人柄のよさから減刑を主張したが、それは叶わなかった。
札幌出身で、高校生のとき、交換留学生としてアメリカ・カンザス州を訪れた八柳容疑者。言葉でのコミュニケーションに悩み、その代わり絵を描くことで現地に溶け込んでいった。18歳で芸術家を志し、日本でも展覧会を開くなど精力的に活動していた。
すでに大学から解雇されている八柳容疑者だが、異国での恋心は抑えきれなかったようだ。
写真・マウント・ホリヨーク大学のサイトより
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