夏場を迎える前から、岩尾憲の食生活に変化が生まれた。
「葉っぱをたくさん食べるようになったんです。レタスとか、ほうれん草とか」
つまり、サラダということだろう。きっかけは管理栄養士として浦和レッズをサポートする石川三知さんのアドバイスだった。
「僕はもともと炭水化物をたくさん食べるんですよ。若い選手たちに『憲さん、学生ですか?』と驚かれるくらい、ご飯を食べる。ただ、体に蓄積された炭水化物をエネルギーとして回してくれるのが、葉っぱらしいんです」
それまで岩尾は野菜をあまり摂取していなかったため、体の中で炭水化物の持て余しが起きていたのだという。
「それで三知さんから『もっとたくさん食べたほうがいいよ』と言われて」
こうして岩尾家の食卓は、これまで以上に彩り豊かになった。
もっとも、34歳にして食習慣を変えた岩尾にとって、毎日のようにサラダを食べるのは、意外と根気を必要とする作業だった。
「飽きちゃうんですよね。気分が乗らない日は食べないこともあります。キノコの種類を変えたり、卵の黄身を落としてみたり、工夫はしているんですけれど……」
そんな岩尾は最近、“秘密兵器”を手に入れた。
コーヒーをはじめ、世界中の珍しい食料品や調味料などを販売する輸入食品店のオリジナルドレッシングである。野菜にかけると、ゴマの豊かな風味とにんにくの香りが漂ってくる。
「すごく美味しいですよ。これをかけると、食が進みます」
積極的にサラダを食べるようになって2カ月。今のところ体の変化は感じていないが、自身のさらなる進化を楽しみにしている。
「徳島ヴォルティス時代には足が攣ることがけっこうあったんです。リーグ終盤にかけて、いいエネルギーを出せるようになったら嬉しいですね」
YBCルヴァンカップ、AFCチャンピオンズリーグ2022で勝ち残っている浦和レッズは、リーグ戦と並行してカップ戦に挑むことになる。総力戦のなかで、岩尾がフルスロットルでピッチに立ってくれることを期待したい。
(取材・文/飯尾篤史)
外部リンク