生まれも育ちも埼玉県。ジュニアユース(中学生)年代から三菱重工浦和レッズレディースのアカデミーで心技体を磨いてきた高橋はなにとって、4月3日の大宮アルディージャVENTUS戦は特別な一戦である。
舞台は、昨年11月7日以来となるホームの浦和駒場スタジアム。アカデミー時代から「誰もが立てる場所ではない」と教え込まれてきた聖地だ。
「何がなんでも勝たないといけないと思っています。個人的にはすごく楽しみです」
“さいたまダービー”に懸ける思いは、誰よりも強いと自負する。
2011年6月11日、11歳のときにNACK5スタジアムで初めて見た、男子の浦和レッズ対大宮アルディージャ戦が、いまだに鮮烈な記憶として残っている。
「会場中に熱気が充満していて、雰囲気が違いました。互いのファン・サポーターの応援がすごくて、幼いながらにこの1試合に懸ける思いは特別なんだなと思いました。ピッチの中で戦う選手たちも、いつも以上に気持ちが入っているように見えました。
私はあの試合を見たからこそよく分かります。ダービーは、熱い応援をしてくれるファン・サポーターのためにも、絶対に負けてはいけない戦いなんです」
2点リードされた状況からレッズが追い上げ、原口元気(現ウニオン ベルリン/ドイツ)の魂がこもったゴールで同点に持ち込んだ、あのダービーの空気を肌で感じた高橋の言葉には説得力がある。
WEリーグにおけるさいたまダービーの歴史はまだ浅いものの、浦和を背負う気持ちは本物。昨年10月の第1戦では4-1と圧勝しているが、油断や慢心は一切ない。高橋は大宮のしぶとさを警戒する。
大宮Vは前節、2位の日テレ・東京ヴェルディベレーザに0-1で敗れながらも最後まで食い下がっており、3日は難しい試合になることを覚悟している。
一方のレッズレディースはリーグ戦では6試合連続負けなしで、順調に勝ち点を重ねているが、まだ改善の余地はあるという。
「現状に満足している選手は誰もいないと思います。もっと球際で厳しく、もっと気持ちを前面に出せるはずです。私自身、熱いプレーでチームを鼓舞していきたい」
守備の要としては前節のサンフレッチェ広島レジーナ戦に続いて無失点に抑え、内容でもスコアでも宿敵を打ち負かすことを誓う。
聖地が真っ赤に染まることを期待しながら、燃え上がるような“さいたま決戦”を心待ちにしている。
(取材・文/杉園昌之)
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