飛距離は抜群、コントロールは自在。バックスピンをかけて、芝生の上で止めるような芸当までできてしまう。
足でボールを扱うと、多種多様なショットを繰り出すことができるものの、ゴルフクラブを握ると、そうもいかない。
浦和レッズの岩波拓也はいま魅了されている趣味について、真面目な顔で話してくれた。
「ゴルフって、奥が深い。打ちっぱなしの練習場に行くと、年齢層、性別、体型などみんなバラバラですが、うまい人はうまい。それぞれフォームも違うのに球は飛んでいくんですよ。不思議やなと思います」
細身で筋力がないような人にも、腹回りに贅肉が付いて体が重そうな人にも適わないのだ。岩波はプロアスリートとして、冗談交じりに悔しさをにじませる。
「なんで、俺があの人よりも飛ばへんねん。なんで、俺があの人に負けてんねんって。でも、それがゴルフなんでしょうね。幅広い層が楽しめる魅力的なスポーツです」
ゴルフ歴は1年。コロナ禍のなか、チームメートたちがこぞって始めたことをきっかけに流れに乗った。
軽い気持ちで新しい世界に足を踏み入れると、どっぷり浸かってしまった。現在、ベストスコアは100程度。
「ここまで夢中になるとは思わなかったです。スコアはもっと伸ばせそうですが、集中力がなかなか持ちません。一度乱れてしまうと、なかなか修正できないんですよ。サッカーと通じるものがあります。集中力は本当に大事。ゴルフはメンタルスポーツです」
数字の目標はないものの、野望はある。レッズナンバーワンの座を狙うことだ。
「チームで最もうまい(興梠)慎三さんに勝てるようになりたい。この前、一緒にコースを回ったときは、6ホール目まで同点で、前半を終えた時点でも4打差、5打差くらいでした。
後半に差を広げられましたが、がんばれば、追い越せるんじゃないのかなって。けっこう粘れましたし、しっかり練習すれば勝つ可能性はゼロではないと思っています」
今季、ピッチで存在感がぐっと増してきた背番号4は、ゴルフでも先頭に立ち、チームを引っ張っていくつもりだ。
(取材/文・杉園昌之)
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