「プロ1年目で天皇杯を獲ることができて、プロ2年目でACL(AFCチャンピオンズリーグ2022)決勝進出を決めて、3年目に決勝という大舞台を踏める。それって凄いことだなって。これを獲れるか、獲れないかでサッカー人生が変わってくるというか、自分の経験や財産も変わってくる。『これを獲れたら大きいよね』って」
「一緒に見に行った大学の友だちが『おまえ、凄いな。このチームに入って、この舞台に立てる可能性があるんだもんな』と言ってくれたんですけど、当時はまったく現実味がなくて。でも、3年半が経って、その状況が目の前に迫っていることにワクワクしています。今、自分が考えられるなかで、サッカー人生における最も大事な試合が控えている。浮足立たずにいい準備をして、いつも通りしっかりやろうと思っています」
「周作さんは『前半は確実に雰囲気に飲まれるよ』『1失点で抑えられたらいいほうだよ』と。関根くんも『ずっとクリアすることになる』と言っていました。『ちょっとしたミスでも雰囲気で全部持っていかれるから、無理して繋ごうとせず、クリアしながらチャンスを伺うしかない』と。宏樹さんも『国内の試合ほど、攻撃参加しないと思う』と話していて。それだけアルヒラルの攻撃力とアウェイの雰囲気を警戒していました」
「慎三さんは、相手にサウジアラビア代表がたくさんいて、強力な外国人選手もいるのを分かったうえで、『たいして変わらないよ』と。『そんなに何もできないこともないから』と話してくれました」
「やっぱり耐えることがメインになるのかなって。押し込まれているときのメンタリティが大事になってくると思いますね。どんな状況になっても慌てないように。うまくいかないこともあるというように、あえてマイナスのイメージを持っておく必要もある。それでも1回、2回はチャンスが来ると思うので、そのチャンスをいかに仕留められるか。自分としては、そこに神経を使いたい」
「おそらく、ひとりで行ってくれ、という状態になるんじゃないかと。でも、自分としてはそのほうが迷いなく仕掛けられるし、自分の力を試す格好の機会というか。そこは自信を持っていきたい。そこで仕掛けるのは自分の武器だし、そこで決められたら最高ですよね。自分のストロングを出していきたいと思います」
「昨年よりも自信を持って、堂々とプレーできている感覚はあるんですけど、先発出場したとか、闘い続けて存在感を示したとかでは満足できなくなっているんです。ここまで9試合に先発して1アシストしかできていない。もっともっと得点を決めて、この決勝に臨みたかったというのが本音。チームが勝っても、自分が数字を残せなかったら達成感がほとんどないんです」
「途中出場の選手が活躍したりすると、スタメンを変えたほうがいい、という意見を目にしたりする。それも、もっとやれると期待されているからこそだと理解しています。その一方で、自分が試合に出ている意味はなんなのか、自分にしかできないことはなんなのかを再認識するために、サッカーノートに書いています。
「SNSでの『なんで、あそこでパスを出さなかったのか』というような率直な疑問に、なるほどなって感じることもあって。実際にピッチに立った者からすれば、『あそこはああだっから、こういうプレーを選択した』と言うこともできるんですけど、言い訳というか、逃げに過ぎないとも僕は捉えられるので」
「この前、関根くんとも話したんですけど、『ゴールが奪える位置にいるように見えるけど、実際には遠いところにいるよね』と。それは高さ調節をしていたり、ビルドアップの逃げどころになったりして、必ずしも高い位置にずっといるわけではない。でも、それができるのも僕たちの持ち味で、そこでチームを助けているからこそスタメンで起用されている面もある。だから簡単ではないんですけど、それで満足していたら、次のステージには行けない」
「僕はチームに影響力のある選手になりたいと思っていて。自分が目指す影響力のある選手の要素の80%は、得点・アシストが占めている。相手にとって怖い選手にならないといけないと思っています」
「19年の決勝は、あの6万人のファン・サポーターの熱気に興奮して、ずっと動画を撮っていました。その舞台に立てると思うと、とてもワクワクします。ただ、まずは1戦目に全集中したい。ケガをすることになってもいい。それくらいの気持ちで、必死に闘いたいと思っています」
(取材・文/飯尾篤史)