3月のインターナショナルマッチウィークは大雨が降るなか、デコボコの土が見えるピッチで必死に走り回っていた。
中東のヨルダン遠征から浦和に戻ってきたU-19日本代表の早川隼平は、試練のような代表活動を振り返る。
「即席チームだったので、戦術うんぬんではなかったです。当たり前の『走る、闘う』という部分がクローズアップされ、そのなかで自分に何ができるかどうかでした。レッズでも求められていることです。代表とレッズではトレーニングの強度は違いますが、常に意識しています」
昨季はAFCチャンピオンズリーグ2022決勝の舞台も経験。敵地サウジアラビアで強豪アル・ヒラルの強さを肌で体感しており、中東のスピード、独特のタイミングは想定の範囲内だったという。
ボール保持時間は短く、セカンドボールを拾う仕事が多かったものの、ハードワークをこなし続けた。U-19ヨルダン代表、U-19シリア代表と計3試合を戦い、貴重な実戦経験を積んだ。
代表のチームメートには、すでにヨーロッパでプレーする選手たちもいる。今冬、ジュビロ磐田からベルギーのRSCアンデルレヒトに移籍し、セカンドチームでプレーする後藤啓介とは仲が良く、よく会話もしている。
「負けたくないおもいはありますが、彼らと同じことをしようとは思っていません。自分には自分のプレーがありますから」
大切にしているのは、大原での毎日のトレーニング。今季、レッズでは開幕から出場機会をつかめていないが、トレーニングでは先輩たちの助言に耳を傾け、レベルアップに励んでいる。
同じ育成組織出身の宇賀神友弥には細かいポジショニングをコーチングされており、勉強になっているという。
「右サイド、左サイドで縦関係になったときには、どこまで中に絞るのか、プレスをかけるのかを後ろ(DF)目線で言ってくれるので、よく聞くようにしています。前にいると、分からないことも多いので、できるだけインプットしたい。たとえウガさんのいないときでも、同じようなプレーができるように意識づけしています」
今春に高校を卒業し、新たなスタートを切ったばかり。18歳の可能性は、無限に広がっている。足元を見つめ、努力を続けることを誓う。
「すべての面でもっとレベルを上げないといけませんが、試合で起用されれば、自分の持ち味を出す自信はあります。チャンスが来たときにつかんでやる、というメンタリティーを持ち、トレーニングに臨むことが大事だと思っています」
くすぶっているわけではない。勝負のときに備え、感覚を研ぎ澄ましている。
(取材・文/杉園昌之)
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