浦和レッズの28番は、アイアンマンである。
4月15日からタイで集中開催されたAFCチャンピオンズリーグ2022(ACL)のグループステージは、ほとんどフル稼働した。中2日の6連戦で5試合連続して先発出場。J1リーグでも休みなしで全試合出場している。
J1リーグ第2節・ヴィッセル神戸戦からは10戦連続でフル出場中。強くて、大きくて、タフなアレクサンダー ショルツをデンマークの『鉄人28号』とつい呼びたくなってしまう。
約1月ぶりのJ1リーグとなった5月8日の柏レイソル戦でも、その存在は攻守両面で際立った。
前半12分にはセンターバックの持ち場を離れ、自陣の右サイドからボールを持ち運び、敵陣まで侵入。相手のファウルを誘い、FKを獲得した。
要所で発揮する攻撃センスは周囲の度肝を抜く。0-0で迎えた後半アディショナルタイムには、敵陣のペナルティーエリア近辺で、相手がクリアした浮き球を技ありの右足ボレーで打ち返し、ゴールバーに直撃させた。
決勝ゴールこそ生まれなかったが、FW顔負けの一発。試合を重ねるたびに攻撃に絡む回数は増えているが、本人にとっては当たり前のプレーをしているだけだ。
「シンプルにチームに順応するようにしています」
本職の守備では、読みを生かした鋭い寄せが光る。前半18分には敵陣で柏の大柄なFW森海渡をストップし、カウンターの芽をつんでいた。後半になっても出足が鈍ることはなく、疲れを感じさせないプレーで相手の攻撃をシャットアウト。試合後は涼しい顔でハードな戦いを振り返っていた。
「基本的に後半も疲れはなかったです」
目を引くのは、常に落ち着いているメンタル。感情のコントロールを失う場面は皆無に等しい。
ACLの試合ではあいまいな判定にも執拗に抗議することなく、すぐに自らのポジションへ戻り、次のプレーに切り替えていた。
状況判断が遅れて、不要なファウルを犯すこともほとんどない。激しい競り合いが多いセンターバックでも、来日後はいまだリーグ戦でイエローカードもなし。当然、累積警告で出場停止になることもない。ますます余人を持って代えがたい大黒柱になりつつある。
ショルツが最もこだわるのはクリーンシート。5月13日のサンフレッチェ広島戦でも堅陣を築き、3試合連続の零封を目指す。
(取材・文/杉園昌之)
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