「セレッソ大阪戦で試合に出て、そこから途中出場する機会が増えて、ACL(AFCチャンピオンズリーグ)決勝でも途中出場することができた。相手が体力を消耗している時間帯ではありましたけど、自分もトップ下で戦えるということがわかって、さらに自信がつきました」
「スタートから試合に出るのと、途中から試合に出るのでは、また大きな違いがあったので、全部が全部、うまくいったわけではないですけど、途中から試合に入ることにも慣れましたし、そうした状況でも自分のプレーを出せると思えるようになりました」
「浦和レッズのファン・サポーターの声援って、アウェイでも、まず相手に負けることはないですよね。それくらい、いつもエネルギーやパワーをもらえる状況で戦っていましたが、サウジアラビアで戦ったACL決勝の第1戦は、初めてその声援がかき消されてしまうような雰囲気でした。にもかかわらず、そうした厳しい状況を楽しめるくらいの余裕が持てていた。そこで自分がひと皮剥けたのか、トップ下というポジションでのプレーを楽しめるようになりました」
「トップ下の位置でボールを受けられる回数と、前を向ける機会が増えました」
「自分なりに、スタメンから外されたことには理由があると思っていて、それは運動量なのか、得点能力なのか、もしくはボールを収める技術が足りないからなのか。いずれにせよ、何かしら足りていないから、そういう判断になっていると考えました」
「それをネガティブやマイナスに捉えたわけではなく、自分にはまだまだ成長できるところがあるし、成長しなければいけないところがあると思うことができました。どこか、試合に出られていることで、自分に甘くなっているところがあったのかもしれない。改めて、そんな自分に喝を入れる機会になりました」
「最近の試合では自分が攻撃しているという感覚が得られなくなっていました。前線からの守備でチームに貢献している機会のほうが多く、前でボールを収める、前を向くことが少なくなっていた。また、体力的に疲れてきた時間帯でも、ボールをキープすることも増やさなければいけなかったのではないかと……」
「最初は、どうやってボールを受けたらいいのか、どこに立ったほうがいいのかも手探りでした。でも、今は立ち位置やトップ下としての守備のやり方も含めて、だいぶわかるようになってきました。だからこそ、最近は、トップ下でプレーしているからこその難しさも感じています」
「最近、一緒に試合に出る機会の多い(ホセ)カンテは、DFの裏に抜けて走るよりもポストプレーが多いので、なるべく近くでボールを受けるか、自分がカンテの裏へ抜けることを意識しています。
「憲くんがセンターバックの間に降りてボールを回すときは、自分が敦樹くんと横並びになることもありますが、憲くんが下がらず、中盤に残っているときには、なるべく憲くんが見える位置に立つようにしています。憲くんからパスが来なければ来ないで、前を向けばいいですし、憲くんが縦につけたいときにつけられる位置に、また、つけたときにもう一度、戻せる距離にいることが大事だと思っています。でも、最近は、『お前に任せた』みたいなパスもあったりするので、そういったときにボールを失わないでキープすることができればと思っています」
「ボランチでプレーしながらも、自分がまたトップ下で試合に出たときのことも考えて、観察していました。翔哉くんは、ボールを持っている選手の近くにいるし、ボールに関わりに行く回数も多かった。何より、自分がボールを持ったらすぐに攻撃のスイッチを入れていたので、勉強になりました」
「佳穂くんは人と人の間でボールを受けるのがうまいし、相手がいてもうまくボールを隠しながら前に運んでいくところは見習いたいと思っています」
「トップ下でもボランチのような動きは意識しています。運動量もそうですし、(理文戦の90分に)ドリブルで持ち運んだように、あの時間帯でもぐいぐいと前に行けるところは自分の武器だと思っています。もう少し相手を引きつけてからパスを出そうとしていたところで、ドリブルが大きくなってミスしてしまいましたけど」
「ボランチよりも、ゴールに近い位置でプレーしているので、シュートの意識は、もっと持たなければいけないと思っています。自分がミドルシュートを打つことで、たとえゴールに入らなかったとしても、センターバックを引き出せることもありますし、相手がシュートを弾いたときに、走り込んできたチームメートが何かを起こしてくるかもしれない。トップ下でプレーしているときには、自分がシュートを打つという意識を持つことが大事だと思っています」
「試合後にスタンドを回っているときも、まだ自分のことを応援してもらえているとまでは感じられていないんですよね。試合中、その声援は間違いなく力にはなっているのですが、試合後は、まだそこまでの選手にはなれていないと思っていて」
「(プロ初ゴールを決めて逆転勝利した)セレッソ大阪戦は、ヒーローインタビューを受けて遅れてひとりでスタンドに挨拶をして回ったこともあって、自分がこんなにも多くの人に応援されているのかと感じました。それもあって、どこかでまた、自分が点を決めてヒーローになりたいと考えていますし、そのためにはやっぱりシュートを打たないといけないなって思っています。その瞬間を目標にしてやっているところもあるので」
(取材・文/原田大輔)