Yogibo WEリーグ2年目のシーズンが、まもなく開幕する。三菱重工浦和レッズレディースは昨季、初代女王の座を狙いながら惜しくも2位でフィニッシュ。優勝を逃した悔しさは、誰も忘れていない。チームを背中で引っ張り続ける安藤梢に、今季に懸ける思いなどを聞いた。
■40歳の自分は若手と同じレベルではダメ
――WEリーグ初年度の昨季は、ベストイレブンを受賞しました。40歳を迎えた今シーズンも、トップレベルのパフォーマンスを維持していると思います。その要因はどこにあるのでしょうか。
「日頃のトレーニング、そして体のケアを欠かしていないからです。20歳くらいの頃から科学的なメニューをこなし、アスリートとして食事にもずっと気をつけてきました。もう20年は続けています。今だけではなく、継続していることが要因のひとつかなと。自分の取り組んできたことが、間違っていないことを証明したいという思いを持ち、プレーを続けています」
――年齢を重ねるごとにトレーニングの内容は変わってきましたか。
「自分の体で実験しながら、トレーニングの方法、ケアの仕方などを変えてきました。今オフからは年齢によるスピード低下を招かないために、瞬発系のトレーニングを増やしました。ピッチ上で遅くなったと思わせないようにしています」
――ケアのところで気をつけていることは?
「疲労の回復です。年齢を重ねると、リカバリーが遅れて、トレーニング量を減らさざるを得なくなる選手もいます。私の場合は、いち早くコンディションを戻す努力をしています。大事にしているのは、1週間のサイクルを考えて、トレーニング量をしっかり確保すること。もちろん、若いときほど量を増やせませんが、質を上げています」
――トレーニングの成果は、目に見える数字で出ています。今季のWEリーグカップでは6試合4ゴールと活躍し、優勝に大きく貢献しました。
「試合に出続けるためには、結果を残さないといけませんから。レッズレディースは有能なタレントがそろっているので、必死に頑張らないと出場機会は掴めないんです。むしろ、この厳しい競争があるからこそ、自分の能力も高められていると思っています」
――常に危機感を持っているのですね。
「才能ある若い選手たちの突き上げがあるので。仮に40歳の自分と同じくらいの実力を持った若手がいれば、監督はどちらを選ぶか――。将来性などを考慮すれば、きっと後者を選択するでしょうね。同じレベルではダメなんです。だから、数字という結果は必要になってきます」
■埼スタは相性のいいスタジアム
――リーグカップでの6試合、4ゴールという数字には手応えを感じていますか。
「うーん、自分として、もっと点を決めたかったですね。チーム最多得点と言われても、ピンとこなくて……。やっぱり、1試合1ゴールは取りたいので」
――WEリーグ2年目もいよいよ開幕します。年齢を感じさせないプレーを見せたいとも話していましたが、具体的には?
「ベテランになってくると、自分で仕掛けるよりも、周囲を生かし、バランスを取りながらプレーするイメージがあると思いますが、私の志向するスタイルは違います。スピード感のある動きを生かし、1対1でも積極的に仕掛けていきたいんです。それこそ、40歳とは思えないようなプレーを見せて、周囲をあっと驚かせたい。私たちはプロですから、お客さんに楽しんでもらえるようなサッカーをしないといけません」
――レッズレディースのリーグ初戦は10月23日。ホームの埼玉スタジアムにAC長野パルセイロ・レディースを迎えますが、ファン・サポーターにはどのようなプレーを見せたいですか。
「注目される一戦なので、攻撃的なサッカーを披露し、果敢にゴールを狙っていきたいですね。舞台は埼玉スタジアムですから。過去を振り返っても、レッズレディースの特別な一戦では使用させてもらってきました。陸上トラックもなく、ピッチとスタンドが近いので、選手としてはアドレナリンが出るんです」
――昨季も、安藤選手は埼玉スタジアムでゴールを決めています(昨年11月13日のマイナビ仙台レディース戦)。
「相性がいいんですよ。2009年のリーグ最終節には、埼スタで2ゴールを決めていますから(2009年11月1日、ジェフユナイテッド市原・千葉レディース戦)。13年前ですが、いまだに記憶に残っています」
――では、最後にWEリーグ2年目の目標を教えてください。
「もちろん、リーグ優勝です。そのために、持っている力をすべて出すつもりです。私が率先して気持ちの入ったプレーを見せることで、チームのスイッチを入れたい。苦しいときにも足を一歩出し、球際で競り負けないこと。誰よりも戦う姿勢を見せ、みんなを引っ張っていければ、と思っています」
(取材・文/杉園昌之)