ベスト4、優勝に肉薄した準優勝、そしてベスト4。
それが、直近の欧州ツアー3大会で、加藤未唯がダブルスで残した戦績である。
最後の大会は、パートナーの体調不良により棄権する不運もあったが、プレー内容も結果面でも、充実した3週間だったろう。
好戦績の理由として加藤が挙げたのは、まずはパートナーのアルディラ・スチアディの存在だ。
6月末のウィンブルドンでの加藤/スチアディ。後衛のスチアディが強打で崩し、前衛の加藤が豪快に決める
「パートナーとのコンビネーションが機能している。今まではダブルスというより、個々でやっている感じでしたが、彼女とは相性が良かったです」
NCAA(全米大学リーグ)プレー経験を持つスチアディは、2018年アジア大会の混合ダブルス金メダリストでもある。
加藤曰く「ストロークがしっかりしているし、明るいので雰囲気が良い」。
今年5月の全仏オープンで初めて組み、前述した3大会のうち最初の2大会は、彼女とのペアで上位進出を果たした。
また🥈でした🥲
— Miyu Kato / 加藤 未唯 (@miyukato1121) July 23, 2022
たくさんの応援ありがとうございました❤️ pic.twitter.com/L43d9c50GZ
スチアディがフラット系のショットで相手を振り、加藤が跳躍力と繊細なタッチを生かして決める――これこそが、二人のケミカルが最大限に発揮されるポイントパターンだ。
そしてもう一つ、加藤が「機能している」と言及した点がある。
それが、「ウィンブルドン前に、バックボレーを両手に変えた」こと。その理由の詳細は“企業秘密”だが、「安定するので、速い球でも返せる」との手応えは得ているという。
なお、欧州遠征から帰国し北米遠征に出る直前の練習でも、試合中の種々の状況に応じ、ボレー練習を繰り返す彼女の姿があった。
バックボレーを従来の片手から両手打ちに変更。とはいえ臨機応変に、身体から遠いボールは片手で打つことも
コロナ禍で渡航が困難だった時期にも、単身の長期遠征を厭わず、パートナー選びも含め試行錯誤を重ねながら、「挑戦」をくりかえしてきたこの2年間。
踏破した日々が蕾をほころばせたその先で、真の開花の時を目指す。
加藤未唯(かとう・みゆ)
1994年11月21日生まれ、京都市出身。2017年全豪OP複ベスト4、2018年東レパンパシフィックオープン複優勝。156㎝と小柄ながら、全身のバネと天性のタッチを生かしたアクロバティックなプレーが武器。
【内田暁「それぞれのセンターコート」】