来週発表のWTAランキングに、真新しい選手の名が刻まれる。
Hayu Kinoshita、予想ランキングは700位台前半。
2006年10月27日生まれの木下晴結は、現在の世界ランカー中で7番目に若い選手になりそうだ。
18歳以下のカテゴリーであるジュニアランキングでは、今夏に50位に到達した。
今年は、予選を突破した全仏オープンを含め、全てのグランドスラムでジュニア部門に出場している。
そんな木下は今シーズンが始まった時、「年内にWTAランキングを持つこと」を目標として掲げていた。
世界で4,000万人と言われる女性テニス競技者のうち、シングルスの“世界ランカー”は2,000人にも満たない。木下は今秋、日本で開催された年齢制限のないプロ大会に2週連続で出場し、いずれも予選を勝ち上がり本戦へ。
とりわけ、静岡県牧之原市開催の賞金総額25,000ドル大会では決勝進出。この成績で手にしたランキングポイントで、一気に世界ランカーデビューを果たした。
14歳から15歳にかけ急激に伸びたという上背は、167㎝に達している。
それに伴いトレーニングに時間を費やしてきたが、細い手足は、まだまだ少女の風情。
プロの大会では、フィジカルが最大の不利点になるかと思われた。
だが木下本人の皮膚感覚は、そうではない。
「ジュニアと比べたら頭脳で戦ってくるし、最後までメンタルがぶれない。なので自分も、メンタルをタフに保ち戦うことを意識していました」
その成果こそが、3戦連続でフルセットを勝ち抜き決勝へ這い上がった牧之原大会。
「劣勢な場面やスコアが今大会は多かったんですが、そこでしっかりタフにプレーできたことが、まずは良かったかなと思います」
見つけた課題をクリアした自身に、まずは一定の評価を与えたようだった。
戦術面では、「フォアのクロスから、ダウンザライン(ストレート)に持っていく展開が使えるようになった」ことが、一つの成長点だったという。
これまで自信を持っていた「バックのクロスからダウンザライン」、そして「フォアの逆クロスからネット」のポイントパターンに、新たなオプションが加わった。
今週は、大阪市開催の“スーパージュニア選手権”に出場中。地元開催の大会で、連覇したいとの思いは強い。
チャレンジャーの気持ちで挑んだプロの大会から一転、挑まれる立場で立つコート。
「ま、連覇は意識してますが……でも一つひとつ目の前の試合をがんばっていきたいです」
柔らかに重圧を受け止めて、世界への階段を着実に上っていく。
今年4月、伊達キャンプに臨時コーチとして登場した錦織圭に、指導を受ける木下
木下晴結(きのした・はゆ)
2006年10月27日生まれ、大阪府枚方市出身。5歳の時に地元のスクールでテニスを始め、京都府京田辺市のテニススクールで腕を磨く。伊達公子さんが立ちあげたジュニア育成プロジェクトの二期生にして出世頭でもある。
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