財界や芸能界の大物もお忍びで通う銀座の高級割烹料理店「いづく」を25歳にして任され、“若き天才”と持てはやされていたイケメンシェフが逮捕された。警視庁は3月27日、住居侵入と強制わいせつ容疑で「いづく」店長の崎楓真(さきふうま)容疑者を逮捕したと発表。被害にあったのは、別の飲食店に勤める20代の女性だった。
「被害女性はオートロック式のマンションに住んでいましたが、崎容疑者は1月15日の午前6時頃に、住人が出入りするタイミングを見計らって侵入。その後、施錠されていなかった女性の部屋に入り、就寝中だった女性の胸を服の上から触るなどした疑いがかけられています。女性が翌日、警察に相談したことで事件が発覚しました」(警視庁担当記者)
崎容疑者は「酒に酔っていて覚えていない。弁護士が来てから話す」と容疑を否認している。崎容疑者と「いづく」を応援してきた有名企業の社長やセレブ客たちは、逮捕を聞いて驚いていることだろうが、はたして刑はどうなるのか?
似たような事件を何度か扱っている弁護士・島田さん(仮名)が匿名を条件に、話を聞かせてくれた。
「崎容疑者の件は、住居侵入と強制わいせつの容疑なので、初犯であれば、1年半から2年半くらいの懲役で、執行猶予がつくイメージではないでしょうか。
被害者女性は家を知られているので、またやられるのではないかという恐怖感を植えつけられてしまった。被害者女性が強く厳罰を求めた場合、懲役2年半、執行猶予4年程度もありえます。
ただ、被害者女性と示談が成立した場合、不起訴になることもありえます。この手の事件では、示談できているかどうかが重要になってきます」
有名店シェフがらみの事件で思い出されるのは、ミシュランガイド1つ星を獲得した大阪の日本料理店「榎本」の店主・榎本正哉被告(47歳)だ。
女性客に睡眠導入剤入りの料理を出して性的暴行を加えるなどした事件の裁判で、準強制性交と詐欺罪に問われていたが、3月29日、大阪地裁は懲役6年6か月の判決を言い渡した。
高級料理を楽しみに来店した女性客の酒に睡眠薬を混ぜる行為を繰り返していたという榎本被告は、2020年12月に客のAさんに、2021年2月にBさんに性的暴行をしたとして起訴されていた。
しかも、3月4日の『現代ビジネス』の報道によれば、女性が眠っている間に携帯電話を勝手に操作し、自身とメッセージを交換、合意がある性交渉のように装っていたという。また、被害者はAさんBさん以外に、少なくとも2人いることもわかっている。
さらに、同報道によれば、新型コロナウイルスの時短営業で支給された協力金を詐欺した容疑でも起訴されているという。
性犯罪2件に加え、給付金120万円の詐欺を犯した榎本被告に対して、検察側は懲役10年を求刑。しかし、榎本被告がAさんに「示談金」600万円、Bさんに「解決金」700万円を支払っていたことが考慮され、懲役6年6か月の判決となった。
前述の島田弁護士が、榎本被告の判決について語る。
「榎本被告の場合は準強制性交罪と詐欺罪ですから、前者の2件と、後者の給付金詐欺、それぞれの刑が合わさったということですね。刑期に関しては、詐欺罪がなければ、もう少し短くなっていました」
示談金や解決金を支払っているとはいえ、刑が軽すぎる気もするが……。
「うーん……。被害者の1人は示談はしていないまでも、解決金は受け取っているようですし、難しいところですね。類似の事件の判例を基準とした相場感でいえば、著しく軽いという印象はないですね。
ちなみに、今回の判決が下されるまで榎本被告が勾留されていた場合は、6年6カ月の懲役期間から、その勾留日数が『未決勾留分』として差し引かれます。もし、被告が2年間勾留されていたなら、実際の刑期は4年6カ月ということです」(同)
榎本被告に下された判決は懲役6年6カ月。先述の崎楓真容疑者には、執行猶予がつく可能性もある。事件の性質は違えど、ともに有名料理店のシェフが起こした卑劣な性犯罪。被害女性の心に一生消えないトラウマを植えつけた彼らが受ける罪の重さは、適性なのかどうか――。
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