毎年100人前後が死亡する「着衣着火」。調理中のガスコンロや仏壇のろうそくなどの火が、着ている服に燃え移ることで起こる火災だ。重度のやけどや死亡のリスクがある。
東京消防庁によると、出火原因の8割はコンロが占め、残りはろうそくや消毒用アルコールが多い。裾や袖が広がった服、ふわふわした服、マフラーなどが燃えやすく、とくに綿やレーヨンなどは、表面の毛羽に火がつくと一瞬で燃え広がる「フラッシュ現象」につながるため、危険度が高いという。
「X」では、《フリースを着て料理するなよって旦那に何度も言われてたけど寒いしまぁ大丈夫でしょと着たまま料理。気がつけば袖が左右ともチリチリに焼けていた。》などの投稿もある。
引火を防ぐおもなポイントは、調理中に燃えやすい服を着ない、コンロのまわりに物を置かない、鍋の底から炎がはみ出ない適切な火力にすることだ。
万一、服に燃え移ってしまった場合はどうすればいいか。救急医が設立したスタートアップ企業で、AIを活用した救急医療支援システムの開発・運用をおこなう「Smart119」のマーケティング担当者・中村一志氏が解説する。
「まずは近くにある水をかけてください。水道の水、流しの洗い桶の水、花瓶の水、飲み物など、なんでもけっこうです。
アメリカで考案された『ストップ、ドロップ&ロール』という方法も有効です。
最初に『ストップ(止まる)』、火の勢いを大きくさせないためにその場で制止します。次に『ドロップ(倒れる)』、燃えているところを地面に押しつけるように、体と地面をくっつけます。そして『ロール(転がる)』、顔の火傷を防ぐために、両手で顔を覆いながら転がります。
着衣着火は、屋内だけでなく屋外でもリスクがあります。キャンプでバーベキューなどをする際は、難燃性のジャンパーを着用し、風向きにも注意してください」
寒さが本格化し、毛先が長く “もふもふ” した衣服や、大きめの “だるだる” した衣服を着がちだが、調理中は危険。防炎エプロンを使用したり、重ね着を減らすなど注意が必要だ。
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