有名医師たちが実名告発「私は患者さんにジェネリックを使いたくない」皮膚に赤い発疹…現場の緊急警鐘
「安いけど、効果は同じ」
“医療費削減”という大義名分のもと、国を挙げて推進されてきたジェネリック医薬品。だが、現場ではその信頼は地に堕ちている――。
「2020年に、小林化工が製造する水虫の治療薬に、睡眠薬が混入していたことが発覚。2人の死者を出しました。この事件をきっかけに、厚生労働省が医薬品メーカーを厳しく査察しました。さらに2020年、業界大手の日医工で大量の不正が発覚。業務停止命令を受けて経営が悪化し、2022年に事業再生ADRを申請しました。直近では2023年9月に、沢井製薬が胃炎薬の品質試験で不正をおこなっていたことが判明しました」(社会部記者)
「『ジェネリックは、絶対にやめてください!』という患者さんが増えています。でも、正しい選択ですよ」
「効果が低いんですよ。いちばんトラブルが多いケースはカルシウム拮抗薬です。血管の筋肉に対するカルシウムの働きを抑えることで血管を広げ、血圧を下げるための薬ですが、ジェネリックに代えた途端、血圧が下がらず、不安定になってしまった患者さんが何人もいます。また、血液中の脂肪分が多すぎて“血がドロドロ”な脂質異常症の患者さんに、ジェネリックの脂質異常症治療剤を投与したところ、血液検査の各種数値が悪化してしまったことがあります。どちらも、中高年の患者さんにとって身近な薬ですから怖いですよね」
「耳鼻科で使う薬はおもに、抗菌薬や抗アレルギー薬です。統計は取っていませんが、私自身が飲んだうえで、先発品のほうが効くと感じます」
「術後や怪我のケロイドを防ぐための肥厚性瘢痕治療剤がジェネリックの場合、効果が薄いと感じられることがあります。きれいに治ってほしいと思って処方しますので、先発品じゃないと不安ですね」
「先発医薬品と比べ、『皮膚に赤い発疹が出た』『蕁麻疹が出た』という患者さんが多いんですよ。僕がジェネリックに不信感を抱くようになったきっかけは、大学病院時代に検査で使用した造影剤です。ジェネリックの造影剤を使用すると発疹が出たり、呼吸が苦しいという患者さんが多かったんです。薬局でもらう薬だけでなく、検査や手術に使用する薬にもジェネリックが使われることが多いんです」
「過去に治療した患者さんが、もともと双極性障害I型の治療をおこなっていました。歯科治療も体調に合わせてゆっくりと進めていましたが、あるとき受診のペースが著しく低下したんです。きっかけは、精神科でもらう抗精神病薬がジェネリックに変わったことだったんですよ。効果が得られず、朝も起きられない鬱が続き、受診困難になってしまったんです。その後、薬を先発品に戻したことで、状態が安定し、無事に歯科治療も完了しました」
「ジェネリックは、同じ種類の薬を複数のメーカーが販売しています。しかし、メーカーによって適応する病気が異なるケースがあるんです。たとえば“メーカーA”が製造する脂質異常症治療剤には、家族性高コレステロール血症の適応があるが、“メーカーB”にはないということが起きます。医師が書いた処方箋には病名まで書いていないので、薬局でジェネリックに変えた場合、“誤った薬”が渡ってしまう可能性があります」
「ジェネリックは、同じ薬効があるかどうか調べるために、生物学的同等性試験を受けます。要するに、薬の成分が血中濃度としてどれぐらいあるかを調べるのですが、その差の許容域は、先発品に比べて80~125%もあるんです。主成分が同じでも、添加剤は違いますし、これを医学的に『同じ』だと言っていいのか、そもそも疑問です」(木下医師)
「正直、私も使いたくはないですが、医師会も推進するジェネリックを大っぴらに否定できませんよ。一部の医師は、ジェネリック医薬品で利益を得ている調剤薬局と癒着しています。特定の薬局を優先的に案内して、キックバックを受け取ったり、豪華な接待を受けるんです。患者さんが自らの意思でジェネリックに『NO』と言うしかない」
“キックバックの闇”がここにも……。
取材/文・吉澤恵理(医療ジャーナリスト)