「外部からの邪魔を試みようとする者は誰であれ、歴史上で類を見ないほど大きな結果に直面するだろう」
ロシアが核兵器を使用することも辞さないとも取れるプーチン大統領のこの発言が、世界中を震撼させている。
第二次世界大戦終了後、核が戦争に使用されたことはないが、今回のウクライナ侵攻で、ついにその “切り札” が使われてしまうのだろうか。
チェチェン紛争での従軍経験があるジャーナリストの常岡浩介氏は、「ロシアなら十分にありうる」と断言する。
「たしかに、ICBMなどの大型核兵器は、プーチン自身が『使ったら勝者はいないだろう』と語っているように、撃ち合いになった場合に被害が甚大すぎるため、現実的には使用不可能な兵器です。
しかし、小型核兵器であれば、実戦でも使用される可能性は十分にあると思っています」
プーチンが使う可能性のあるという小型核兵器とは、どのようなものなのだろうか。
「1999年のチェチェン紛争の際に、ロシアがテロ組織の拠点に使用することを想定した小型核兵器の開発を進めていることが明らかになりました。
その小型核兵器が使用されたことはまだありませんが、もうすでにロシアはそれを持っているはずです。先のプーチン大統領の発言もあり、使わないという保証はどこにもないと思いますね」(常岡氏)
常岡氏は、この脅威はけっして他人事ではない、と強調する。
「ロシアが北方領土の独立を敢行し、“北方領土人民共和国” を作り、治安維持のため、ロシア本国から軍隊を派遣する、というようなシナリオすらも、本気で考えておかなければいけないと思います」
北方領土でロシアとの戦闘が始まった場合、標的となるのは、もちろん北海道だ。
「2016年、メドベージェフ前首相は、北方領土の基地を拡大し、択捉島にS300Vという巨大地対空ミサイルの基地を造りました。そこには、最新型の戦車なども配備されています。
しかも、日本にとっての脅威は北方領土だけではありません。カムチャツカ半島には、核兵器を積んだ原子力潜水艦の基地もあるんです。今すぐ侵攻を仕掛けることはないでしょうが、そのための拠点はすでに持っています。
日本にも、今回のウクライナと同様に核の脅威が向けられ、それをもとにロシアが強硬な交渉に打って出る日は、いつか必ず来ると思ったほうがいいでしょう」(常岡氏)
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