「(去年は)いいこともいっぱいあったし、悪いこともありました。(九月場所、十一月場所と)最後は2場所連続で負け越しましたからね。でも年が替わって、もう気持ちも切り替えています」
「レスリングをやるために日本に来たんです。叔父さん(朝青龍)は『相撲をやればいいじゃないか!』と言ってたんですけど、その気は全然なかったんですよ。
「授業で国技館に大相撲を観に行って感動しちゃったんです。遠藤関の技のすごさとか、日馬富士関がものすごいスピードで大きな体の力士を倒したり。もう相撲をやるしかないと思って。
「とにかく毎日ご飯をいっぱい食べて吐く。その繰り返しでした。きつかったですけど、我慢すればきっといいことがある、強くなれると思って」
「もちろん尊敬しているし、すごく世話になっていますからね。実際、叔父さんですから……。でも、そう言われるのが嫌なときもありますよ。あれだけすごい人と、甥ということで自分が比べられるのは違うんじゃないかと思うんですよ。もし比べられるにしても、まだまだ早いですよ」
「横綱には、自分が高校のころから稽古をつけてもらっていたんです。関取になる前は『恩返しは俺に勝つことだぞ』って言われたし、関取に上がったときは『早く(番付を)上がってこないと、俺がやめちゃうぞ』って声をかけてもらって。
「そのときは深く考えなかったんですけど、あのとき横綱は引退を決めていたということを後から知ったんです。そう思うと、う〜ん……。そういうことだったのかと、今になって思うんです」
「もちろん三役は狙いますが、“いちばん上” を目指すという気持ちで入門しましたから。それは今も変わっていません。その前に、まずは一月場所で勝ち越しですね(笑)。とにかく “全身全力”。その気持ちで、一番一番を大事にして頑張りますよ」
「これまで当たったことがないんですけど、先場所すごかったですよね。横綱(照ノ富士)を土俵際まで持っていくぐらい、あの長い手でばんばん突っ張るんですから。どれだけ強いのか、確かめたいんですよ」
「いつも気にかけてもらって嬉しいです。でも、正直言うと、あれ本当に参るんです。すごいプレッシャーなんですから(笑)」
豊昇龍智勝(ほうしょうりゅう ともかつ)
1999年5月22日生まれ モンゴル・ウランバートル出身 187cm132kg 本名はスガラグチャー・ビャンバスレン。立浪部屋所属。最高位は東前頭筆頭。三賞は技能賞1回。突き押しに四つ、足技もありと取り口は多彩
写真・高橋マナミ
コーディネート・金本光弘