「0円でずっと使われても困っちゃう」
5月13日の決算発表会でそう話したのは、楽天グループの三木谷浩史会長。この日、楽天モバイルの「0円廃止」が発表され、思わず本音を漏らしたのかもしれない。
7月1日からの新料金プランは、最低でも月額1078円となる。これまで「0円」を謳歌してきたユーザーには大きなショックだったようで、「改悪だ」「裏切られた」という怨嗟の声がSNSに広がっている。
なかには《楽天モバイル0円終了!? 落胆モバイルだよ!!!》と、思わず座布団を出したくなるような書き込みも――。
「14日朝には、楽天市場や楽天ペイなど、楽天グループのサービスが利用できなくなる障害が発生しました。その原因は前日の『0円廃止』発表により、楽天モバイルの解約申し込みが殺到したのではないかと邪推する声もあがりました」(ITジャーナリスト)
実は、楽天モバイル以外でも “楽天離れ” が加速しそうな動きがある。それが楽天カードで続く「改悪」だ。
まずは、2021年4月の改定により、「楽天ゴールドカード」のポイント還元率が4%→2%に。年会費が2200円と格安ながら、メリットの多さで人気が高かっただけに、落胆する人は多かった。
2021年6月からは、楽天カード経由で支払う公共料金(電気・ガス・水道)や税金、国民年金保険料などのポイント還元率が、1%→0.2%に大幅ダウン。毎月それなりの額を支払うだけに、1%の還元率を魅力として設定していた人も多いはずだ。
2022年4月からは、ポイントの付与対象が「消費税込みの金額」→「税抜きの金額」になった。
「改悪」はまだまだ止まらない。
2022年5月末で、「楽天でんき」がスーパーポイントアッププログラムから外れ、使用料200円につき1ポイント還元になった。
2022年7月からは、「楽天銀行を引き落とし口座に設定した楽天カードを支払いに使う」ことで1%のポイント還元を受けられていたのが、0.5%にダウン。さらに、会員ランクによって最大1万5000ポイントだった月間の獲得上限が、会員ランクに関係なく上限5000ポイントになる。
「これらの『改悪』は、モバイル事業の穴埋め、補填としておこなわれているとみていいでしょう」
そう説明するのは、ポイント活動のスペシャリスト、株式会社「ポイ探」代表の菊池崇仁さんだ。
5月13日発表の楽天グループの2022年1〜3月期決算(国際会計基準)で、モバイル事業の営業損益は1350億円の赤字。モバイル事業の赤字は、2020年4月の新規参入以来、続いている。
これまで高い還元率を売りに「楽天経済圏」を築いてきたわけだが、「改悪」で楽天離れは起きるのだろうか。
「いまの段階でギリギリではないですか。他社も楽天と同じような『経済圏』を作ろうとしていますが、なかなかそこまで達していませんから、楽天の優位性はあるとみています。ただ、今後、auやソフトバンクなどの動きによっては、それも変わってくるでしょう」(菊池氏)
ポイント還元のルール変更は細かいものも多いが、われわれユーザーもしっかり注視しておきたい。
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