開戦から約1カ月が経過した、ロシアによるウクライナ侵攻。戦争は混迷を極めており、先行きが見通せない状態が続いている。国際社会が次々とロシアへの制裁をおこなうなか、にわかに注目を集めているのが中国の動向だ。
開戦当初から、中国はロシアの主張する “安全保障上の懸念” に理解を示してきた。
しかし、ウクライナの防衛戦により、戦況は泥沼化。ロシアが孤立を深めていくなかで、中国の識者の間でも、微妙な世論の変化が見られているという。
中国在住ライターの、もがき三太郎氏が語る。
「開戦当初、ネット空間は『ナチスをやっつけろ』『アメリカよ思い知れ』といったロシア押せ押せの大合唱でした。中国のメディアは基本的にロシア側に立った報道をしているため、ある意味では当然のこと。
しかし、中国も国際社会において微妙な立ち位置を迫られるようになり、ロシアに安易に肩入れする態度を示すことは避けたいと当局が考え始めているようにも思われます。
その結果、巨大SNSの微博(ウェイボー)では、今回の戦争にまつわるコメントは賛否を問わず検閲や削除が相次いでいます。
同時に、ウクライナ駐中大使館文化センターの投稿にも、『ウクライナに栄光あれ!』といったコメントがつくようになりました」
また、中国情勢に詳しい拓殖大学海外事情研究所の富坂聰教授も、中国とロシアの関係性を鑑みて、中国国内の世論をこう分析する。
「中国の非インテリ層にはロシアびいき、そしてアメリカ嫌いという傾向がありますが、知識人はそうではない。侵攻に関しては、中国の立場を揺らがせるようなことはしないでほしい、という感覚が率直なところではないかと思います。
西側が連帯し、そこから中国を排除していくようなことをされると、『無駄な難癖をつけられてしまった』と感じるのでしょう」
中国の未来もまた、危機に晒されている。
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