ロシア軍によるウクライナ侵攻が続いている。2月28日には、両国の代表団による停戦協議がおこなわれたが、決着はせず、今後の展開は不透明なまま。
そんななか日本政府は、3月1日、ロシアへの制裁としてプーチン大統領ら政府関係者6人の資産を凍結すると発表した。これにより、プーチン氏は日本国内の金融機関に持つ資金を移動できなくなった。日本国内から対象者への送金も不可能となる。
2000年に大統領になって以来、長年にわたり、ロシアに君臨してきたプーチン氏。その資産については、さまざまな推測がおこなわれてきた。国際ジャーナリストが次のように語る。
「ロシア政府の発表によると、プーチン氏の年収はおよそ1400万円程度。保有資産は小さなアパートと駐車場、車数台となっており、他の閣僚より少ないほどです。
しかし、アメリカの新聞『ニューヨーク・タイムズ』は2月27日、プーチン氏は少なくとも12兆円の資産を、協力者や友人を通じて海外に隠し持っていると報じました。
記事では、ロシア南部の黒海沿岸に1400億円規模の宮殿を保有、さらに、愛人と噂される女性が4億円超のアパートを購入しており、ほかにも、前妻とともに購入した高級別荘、複数のヨットや航空機を持っているとしています。
2017年には、プーチン氏と親交があった投資家が、アメリカ上院の委員会で『資産総額は20兆円を超える』と証言したこともあります。もしこれが正しければ、プーチン氏はアマゾンのジェフ・ベゾス氏やマイクロソフトのビル・ゲイツ氏を超える世界トップレベルの大富豪ということになります」
そんな金持ちのプーチン大統領は、なぜウクライナ侵攻を始めたのか。
開戦理由を説明した演説では、「ウクライナはロシアの一部だったが、極右ナショナリズムが台頭して、ロシアを脅かすようになった。(アメリカを中心とする軍事同盟)NATOが力を持ちすぎた」などと語っている。
だが、前述の国際ジャーナリストは、プーチン大統領の隠された意図を、こう指摘する。
「憲法改正により、プーチン氏は、最長で2036年まで大統領職に就くことが可能ですが、もちろん、任期が満了したら選挙が待っています。プーチン氏は2024年に4期めが満了となるため、是が非でもこの選挙に勝たなければなりません。
そのため、今回のウクライナ侵攻が支持率を上げるためではないかと推測する海外メディアもあります。
ロシアの世論調査機関『レバダセンター』によると、昨年11月にウクライナ侵攻説が浮上すると、プーチン氏の支持率は6ポイント上昇して69%になりました。2014年のクリミア併合の際は、20%近く跳ね上がって過去最高の89%になったのです」
もしプーチン大統領の政治的野望が事実だとしたら、犠牲になったウクライナは災難だが、ロシア国民にとっても不幸なのは言うまでもない。
「いちばんひどい目にあっているのは、戦場に派遣されているロシア兵でしょう。EU圏のニュースサイト『EU Today』は、2月22日、ロシア軍の給与事情を取り上げています。
この記事では、正規兵の月給は約9万円、徴兵された兵士の月給は約3000円だと報道しています。単純に30で割れば、正規兵の日給は3000円、徴兵兵士が100円となるのです」(同)
1日10時間労働だとしたら、正規兵でも時給は300円、徴兵兵士ではわずか10円という惨状だ。この報道に対し、ネット上では、
《ロシアはとんでもないブラック国家やね》
《そんなに酷いんですか? ソ連時代と変わってない……》
《お辛い…命の値段としてはあまりにも…防衛戦ならともかく侵攻ですし》
などの声が寄せられている。乏しい対価で命をかけるロシア兵たち。その対象がプーチン大統領の支持率だとしたら、納得できるものではないだろう。
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