6月9日、自動車ユーザーが支払う自賠責(自動車損害賠償責任保険)の仕組みを変更する改正法が、衆院本会議で賛成多数により可決した。
自賠責加入者は現在、保険料の一部として年間16円が徴収されている。国はそれを財源に、ひき逃げや無保険車による事故被害者の保障に充てている。改正法では、使い道を拡大し、被害者への支援事業などの財源にも使われる。
改正法の成立を受け、政府は来年度、保険料を車1台当たり最大150円値上げする方針なのだが……ここで注目されるのが、自賠責の運用益およそ6000億円の未返済問題だ。
「自動車ユーザーが支払ってきた自賠責保険の積立金7500億円のうち、6000億円を財務省が借りたままなのです。
国交省は残り約1500億円を運用して被害者救済に充てていますが、運用益は年間30億円ほど。対して被害者救済の支出は年間150億円。積立金が少ないため運用益も少額にとどまり、仕方なく積立金を取り崩している状態です。
元本を取り崩しているうちに財源が枯渇に近づき、今回の法改正となったわけです」(社会部記者)
6000億円は、財務省が一般会計への補填として、1994年と1995年に借り入れた1兆1000億円の残債だ。2003年までに7000億円が戻されたが、その後、15年間1円も返していない。結果的に、利息とあわせて6000億円まで膨れ上がった。
「財務省は2018年から返済を再開したものの、年間40〜50億円程度。このペースで行けば、返金まで150年以上かかる計算です」(同)
自賠責保険の値上げ方針が報道されると、SNS上では怒りの声が巻き起こった。
《財源が枯渇した原因は国土交通省が財務省へ貸し出した自賠責保険料の運用益が返済されてないから 不足したら全て国民負担 ふざけるな》
《値上げより、財務省に貸してるのを返してもらうべき。筋は通してもらわないと》
《借りたものは返す、これはうちの子供でも知ってます》
ガソリン価格が高騰しているうえ、自動車関連の出費では、ガソリン税に消費税が課される二重課税問題、ガソリン税の特例税率、ていねいに長く乗り続けるほど高くなる自動車税など、自動車ユーザーが疑問に思う出費は少なくない。
そのうえで、さらに6000億円が流用されたままとは……もうクルマには乗るなということか。
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