「失明リスク」引き起こす夏の紫外線による「雪目」「加齢黄斑変性」対策には?【眼科医が解説】
「災害級の暑さ」ともいわれる2023年の夏。気温だけでなく、強い日差しに苦しむ人も多い。こうした強い日光に含まれる紫外線が「失明の原因となる恐れがある」というのは、「ルクスアイクリニック代々木上原」院長の河本立徳医師だ。
「紫外線対策というと、どうしても皮膚の日焼け対策を想像しがちですが、目も日焼けをします。紫外線により、さまざまな目への影響があるという認識が、より一般的に広がってほしいところです」(河本医師・以下同)
「紫外線は、可視光線と比較すると波長が短く、刺激的な光線のため、目の組織に当たり、炎症を引き起こしたり、活性酸素が生じることで、目のいろいろなパーツの病気の原因となります。結膜では、瞼裂斑(目のシミ)や翼状片、角膜では電気性眼炎(雪目)、水晶体では白内障、網膜では加齢黄斑変性、日光網膜症などの原因となります」
「波長の長いものほど目の奥の組織に届きやすいため、UV-Aは水晶体へ影響し、白内障を引き起こす原因となります。UV-Bは目の表面の角膜で、角膜炎による目の充血を引き起こしたり、角膜上皮を傷害して電気性眼炎(雪目)の原因となりやすい、といわれています」
「雪目」という名前から、スキー場でよく見られる症状と思われがちだが、紫外線の強い夏にも、雪目を経験している人は多いという。
「雪目は、充血や目がゴロゴロする、目が痛み、涙が出るなどの症状が出ますが、海水浴などの後に、そういった症状で受診する患者さんが少なくありません」
「『加齢黄斑変性』があげられます。加齢黄斑変性は、目の奥にある網膜の下層にある『脈絡膜』というところから、脆い血管が網膜側に伸び、壊れることで網膜の出血を繰り返す病気です。
「サングラスやUVカット機能つきメガネは単独で使っても有効ですが、どうしても側面の隙間から、紫外線が入り込みます。なるべくツルが太いもの、レンズの大きいもの、ゴーグルのような、顔にフィットした形のものを選び、できれば帽子も併用するのが望ましいです。色の濃いレンズは、視界が暗くなることで瞳孔が開き、レンズと顔面の隙間から入る紫外線が目の奥に届いてしまいますから、外側から目が見えるくらい薄い色のレンズがおすすめです。
「紫外線対策としてもっとも有効なのは、じつは目に隙間なく密着する、UVカット機能つきのソフトコンタクトレンズです。製品の種類によってUVカット機能の有無やカット率が異なるため、よく調べて選ぶようにしましょう。サングラスや帽子と併用すると、さらに効果的と考えられます」
「目の紫外線ケア」が、将来的な目の健康につながるということを、意識したい。