7月から「災害級」の猛暑が続いている。東京都監察医務院によると、6月20日から7月27日の間に、熱中症の疑いで亡くなった人は、東京23区だけでも73人いたという。7月29日には、最高気温35度以上の猛暑日となった地点は、4日連続で200地点を超えた。さらに、東京都心では7月31日まで、8日連続の猛暑日となった。
そんな酷暑・東京にあって、最高気温が39度に上った7月23日におこなわれたのが、フジテレビの夏の名物企画『27時間テレビ』内の企画「100キロサバイバルマラソン」だった。
「7月22日から23日にかけて、4年ぶりに開催されたこの『27時間テレビ』。千鳥、かまいたち、ダイアンの計6人を総合司会に迎えて、約27時間半ぶっ通しで生放送されました。
数々の企画があるなかでも、通し企画として注目されたのが『100キロサバイバルマラソン』です。優勝賞金1000万円をかけて、『100kmの道のりを、必要以上に休憩時間を取らずに走った場合、いったいいつゴールできるのか?』を検証すべく、YouTuberやタレントら、約20人の芸能人が完走に挑む、というものでした」(芸能記者)
結果、ハリー杉山が17時間ほどをかけて1位に。完走したのは、杉山を含む6人だけだった。しかし、この企画にはあまり嬉しくない後日談がついてきた。
「まず、井上咲楽さんが全体4位、女性では唯一の完走者としてゴールした際に、スタッフが誰も駆けよらず、静観していたことが問題視されました。全力を出しきった井上さんは、ふらふらと倒れるようにゴールインしたにもかかわらず、です。
さらに、6位でゴールしたフジテレビの山本賢太アナは、このマラソンで疲労骨折していたことを公表。後日、自身の担当番組『ぽかぽか』に車いすで出演しました」(同前)
この企画に警鐘を鳴らすのが、医療法人社団五良会理事長で、竹内内科小児科医院の院長でもあるの五藤良将医師だ。五藤医師は、この企画がはからずも発してしまった“誤ったメッセージ”を指摘する。
「この灼熱の異常気象が続く炎天下のなかで、プロアスリートでもない芸能人を走らせることは、非常に危険であることは明らかです。放送を見た一般の方が、なんの医療バックアップサポートもなしに、ひとりで挑戦する可能性もあり、非常に危険です。
テレビであり、医師や看護師などの専門スタッフが待機していたことは知っていますが、もっとそういった医療スタッフがちゃんと監視していることを、放送中にしつこいくらいに告知してもよいと感じました。1時間ごとに、看護師などによる血圧測定など、バイタルサインチェックをおこなっている様子を、テレビで放映してもよかったのではないかと思います」
五藤医師が、炎天下での過度の運動の危険性を解説する。
「脱水症からの熱中症、急性腎前性腎不全、横紋筋融解症、また循環不全や塞栓症などで、最悪、死に至ることも考えられます。
尿の色は、簡易的に脱水かどうかわかる指標になります。そういった脱水症状の指標についても、テロップで紹介するなど、出演者の体調に相当な配慮をしていることは、アピールしても、しすぎることはなかったはずです」
日本各地で、熱中症での死亡例が相次いでいる。そんなときこそ、テレビが率先して、予防の“見本”を見せるべきだったのではないだろうか。
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