北京五輪フィギュアスケート男子フリーの試合後、2月14日に記者会見をおこなった羽生結弦(27)。会場には床に座る記者もいるほど多くのメディアが詰めかけた。
会見前は「引退発表か?」という憶測が広がり、慌ててJOCが単なる取材対応だと否定する騒ぎに。メディアの関心は、未完に終わったクワッドアクセル(4A)に今後挑戦する可能性の有無に集中した。
会見が始まり、近い将来の目標について英語で問われた羽生が、4Aを完成させたい気持ちはあると語ると、今後の挑戦が示唆されたことでネット上では安堵の声が広がった。
羽生ファンはいまや世界中に存在するが、とくに中国で熱狂的な支持者が多い。報道によれば、会見直後、中国版ツイッター・ウェイボーで「#羽生選手記者会見」がトレンド入りし、「#羽生選手は引退しない」という話題が1時間で6000万回以上も閲覧されたという。
ウェイボーではそのほかにも羽生への称賛が溢れた(原文は中国語)。
《母が最近、羽生ファンになり、会見の動画を見ながら、「この子が私の息子だったらどんだけよかったか。顔が綺麗だし礼儀も正しい。特に笑顔が愛らしい…」とずっと呟いてた》
《8年ぶりにオペラ座の音楽がまた北京五輪の氷上に響くとは…さすが羽生結弦。倒れたところからいつも立ち上がる、負けず嫌いな羽生結弦。帰国したらしっかり治療に専念してくださいね》
《マジでもうゆづ沼から出られなくなるかも…圧倒的な実力、EQ(心の知能指数) が高い、話し上手、礼儀正しい、気配りの鬼、天使と小悪魔と天然の完璧な三位一体。完璧すぎて同じ地球人に思えな
い…》
《北京五輪の選手村や設備、食事にいちゃもんばかりつける日本のマスコミとは違って、滑りやすく跳びやすいリンクでしたと言ってくれた羽生結弦選手に好感を持った》
《会見が終わった後、出口までずっとお辞儀をする羽生はもうさすがとしか言えない。常に礼儀正しくて謙虚さを忘れないところが大好き》
《会見を見て、私のような国家主義者でも感動した。かわいい!優しい!強い!綺麗!》
《とても素晴らしい会見でした!謙虚で真摯な言葉、一挙手一投足に表われたしつけと人柄、頭の回転の速さ、かつ自分の言葉でロジカルに答えたところはとくに印象的。この氷上の貴公子に惹かれたのはスポーツ精神だけじゃなく、彼のその聡明さも》
《最後にわざわざ通訳さんにお礼の言葉を伝えたのと、オリンピック旗と中国国旗にお辞儀したのをみて感動した》
《三位に入ってなくてもこんなにも愛されてるのもゆづしかいないんじゃない?》
興味深いのは、《中日友好はゆづ頼み》《アスリートを辞めたら優秀な外交官にもなれそう》といった、日中関係に触れるコメントも多かったことだ。
この中国の人々の“ゆづ愛”については、海外メディアも政治と結び付けて大きく取り上げた。イギリスのBBCは「中国のネチズン(ネット民)の羽生への声援がほとばしる」という記事で、「日本の過去と現在の行動には不愉快な部分もあるが、羽生は違う。彼はすごい」というウェイボーでの投稿を紹介しつつ、羽生は日中の政治的な緊張関係を超えた存在であると書く。
そして、中国外務省が羽生に励ましのメッセージを送ったことや、2021年10月に同省の女性報道官が「日本のファンはオリンピックでの羽生の応援を中国国民に任せていい」と日本語でツイートしたことも紹介している。
フランスの週刊新聞『クーリエ・アンテルナショナル』も、日中の歴史を見ると両国関係は必ずしも良好ではないが、羽生を応援するウェイボーのアカウント「YuzuruInfoStation」には200万人以上のフォロワーがいることに触れ、中国で多大な人気を誇っていると述べた。
2月20日には「エキシビション」に出場する予定の羽生。華麗な演技で中国、そして世界中の人々の心をつかむことに期待したい。
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