「切り替えろ。すぐに次の試合が来るから、気持ちを切り替えるんだ」
「すべてを自分ひとりで背負う必要はない。ひとりじゃない。みんな一緒だ」
「あれは、彩艶の心を支えにいきたいという思いが強かったんです。彼が感情を露わにした理由は、みんなも分かっていたと思います。ただ、それでも彼ひとりがすべてを背負う必要はないと思いましたし、みんな一緒だということを伝えたかった。
「いろいろな選手があのような悔しい経験をたくさんしてきています。特に年齢が若いときは、必ずそうしたフェーズにぶち当たることがある。ミスしたあと、自分の気持ちを整理する作業は、慣れるまで難しさもありますが、そうしたときにもお互いが理解しながら支え合っていく必要があると思っています」
「自分が犯したクリアミスが相手の得点につながってしまった。結果的にそれが敗因となってチームは0-1で負けてしまいました。自分自身もあの試合のあとは、悔しさを覚えました。ただ、それでも前を向いて次の試合に向かっていくしかない。だから、ミスしたあとこそ、練習から集中していくことが大事だと思っています」
「この半年間はすごく難しい時期を過ごしてきました。階段を1段、1段、上がっていくように、ゆっくりとしか進むことができなかった。気持ちとしては1日も早くピッチに戻りたい、チームに貢献したいという思いがある。
「リハビリに付き添ってくれたふたりの存在なしには復帰することはできなかったと思っています。それくらい彼らには感謝しています。過去に診た選手たちの経験談なども聞かせてくれ、復帰までの過程についてもしっかりと説明してくれました。そうしたコミュニケーションがあったから、日によって異なる症状にも焦ることなく、過ごすことができました」
「宇賀神選手はいろいろなアドバイスをしてくれました。完治するまでには、こういうプロセスがあると、実際の経験をもとに話をしてくれたんです。そのうえで、このケガを治すにはコツコツとやっていくことがベストだと言ってくれたこともあり、自分も焦ることなく、向き合うことができたんです」
「いい復帰戦になりました。何よりホームの埼玉スタジアムでプレーできたので、気持ち的にもいつもどおり試合に臨むことができました。久々の公式戦ということもあって、開始直後はナーバスになったところもありましたが、ホームでプレーできたことで、ほぼフル出場(83分までプレー)できたと思っています。あの試合はクリーンシートで終わることもでき、ポジティブな勝利を届けられたと思っています」
「神戸との試合はタフなゲームでした。前線にはドウグラス、中盤にはイニエスタと、レベルの高い選手がいて、彼らがいつ仕掛けてくるか読めない状況でしたが、最後の最後まで警戒心を持ち、集中してプレーできたと思っています」
「リカルド ロドリゲス監督が目指すサッカーは、戦術的に奥行きが深く、興味深いですが、戦術以上にメンタル面も重要視されるサッカーだと思っています。なぜなら、戦術もチームとして同じベクトルで戦うからこそ活きてくるからです。
「浦和レッズに加入することが決まり、サインしたとき、五輪が日本で開催されるということで運命めいたものを感じたんです。自分がプレーする国で五輪を戦うことができるわけですからね。埼玉で試合をすることができたらという思いもよぎりますが、出場しただけでも一生忘れられないような経験を積むことができる。
「クラブは僕を受け入れてくれ、プレーするために必要なものをすべて揃えてくれています。ファン・サポーターも自分を受け入れてくれ、何よりファンタスティックな応援と、素晴らしいサポートをしてくれている。その思いは加入した当初と今も全く変わらず感謝しています。日頃から応援してくれている浦和レッズのファン・サポーターにも、東京五輪でがんばっている姿を見せられたらと思います」
「本当にいつもファン・サポーターの熱意を感じています。コロナ禍ということで、まだまだ我慢する生活を強いられていると思うので、応援してくれている彼らがポジティブな1週間を過ごせるためにも、僕らは勝ち点3を獲らなければならないですよね」
(取材/文・原田大輔)