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父を残し、6歳で海外へ移住。トーマス デンを知るための"3つ"の転機。

2020年3月22日 16:40 浦和レッズニュース

2020年1月28日、浦和レッズに新しい仲間が加わった。U-23オーストラリア代表のキャプテンを務める“トミー”ことトーマス デンだ。南スーダンの難民の子どもとしてケニアのナイロビで生まれた“トミー”はいかにしてプロ選手になったのか。その半生を紹介する。

ルーツは南スーダン共和国

 両親は南スーダンの人間で、僕はケニアのナイロビで生まれました。転機は6歳のとき。それまで苦労していたわけではないですが、もっとチャンスを広げようと、家族でオーストラリアのアデレードに移住することになったのです。

 僕は小さかったので特に不安を感じることはなく、むしろ新しい生活に興奮していた覚えがあります。ただ、寂しかったのは、医師だった父が仕事の都合でナイロビに残らなくてはならなかったこと。その父のサポートを得て、僕と母、3人の兄、姉は海を渡りました。

 アデレードには南スーダンのコニュミティがあったので、新しい生活に順応することに難しさは感じませんでした。僕はこの街で初めてサッカークラブに入りました。ナイロビでもサッカーをしていたんですけど、道端でやるストリートサッカーだったんです。だから、アデレードでクラブチームで、本格的にサッカーを始めました。

メルボルンでの転機

 メルボルンに引っ越したのは、14歳のとき。アデレードよりも仕事のチャンスが広がるという母と姉の判断でした。僕は地元のクラブチームに加入したんですけど、しばらくしてAリーグの強豪、メルボルン・ビクトリーのユースに入ることができました。

 ユース時代にはトップの練習に参加する機会もあったので、プロになれるんじゃないかという期待を膨らませていました。そして1年後、願いどおり、メルボルン・ビクトリーとプロ契約を結ぶことができたのです。このとき、僕は18歳でした。

 プロ1年目は13試合に出場。翌シーズンは、期限付き移籍でオランダのPSVに加入しました。最初の半年はサッカーと生活に慣れるのに精一杯。僕はセカンドチームに所属していたんですけど、トップチームからセカンドチームに落ちてくる選手もいて、なかなか出場機会を得られませんでした。

 ただ、セカンドチームの監督は、あの(ルート)ファン・ニステルローイ! チームメイトには今、トッテナムに所属するステーフェン・ベルフワインがいました。それに、テレビで見ていたトップチームの選手とも交流があって、夢のような環境でしたね。

 もっと試合に出て成長したかったので、1年でメルボルン・ビクトリーに戻ることにしました。その後、3シーズンで約60試合に出場し、復帰1年目にはリーグ優勝を経験。翌年にはAFCチャンピオンズリーグにも出場しました。

豪州代表、そして日本へ

 さらに19歳だった2018年8月には、オーストラリア代表にも選出されました。すごく嬉しくて、家族や友人たちにすぐに報告しました。

さらに喜びを倍増させたのが、幼馴染みのアウェル・メイビルも一緒に選ばれたこと。ともに南スーダンにルーツを持ち、アデレードで育ち、同じ学校に通った友人と一緒に代表デビューを果たせたのは、忘れられない出来事です。

 浦和レッズからオファーが届いたときは驚きましたが、移籍をためらう気持ちは一切ありませんでした。メルボルン・ビクトリーには長く所属したので、そろそろ次のチャレンジをするべきだと思っていたからです。それに、浦和は日本屈指のビッグクラブですし、かつて所属したアンドリュー・ナバウトにも話を聞いたので、断るという選択肢はまったくなかったですね。


浦和レッズの選手として

 YBCルヴァンカップのベガルタ仙台戦ではスタンドから観戦しましたが、浦和のファン・サポーターは聞いていたとおり激しく、ものすごいパワーを感じました。早く皆さんの前でプレーしたい、浦和の勝利に貢献したいという思いが強まりました。

 そして、予定通り開催されるなら、東京オリンピックのピッチにも立ちたい。この大会は自分のキャリアのハイライトになるのではないか、と思っています。

 今はこういう状況なので、皆さんとなかなか交流できませんが、浦和の勝利のために頑張ります。

 ぜひ応援よろしくお願いします。


(取材/文・飯尾篤史)

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活躍できる"3つの理由" 山中亮輔、サイドバックで示す真価

2020年3月18日 16:31 浦和レッズニュース

 今シーズン、選手層が最も充実しているチームはどこか?


 贔屓目なしに、浦和レッズと言っていい。

 湘南ベルマーレとの開幕戦では、日本代表DF槙野智章、元日本代表MF長澤和輝、昨年まで不動のボランチだった青木拓矢がベンチを温めた。

 さらに、昨年のレギュラーだったエヴェルトンとマウリシオ、元日本代表の阿部勇樹にいたっては、ベンチに入れないほどだ。

 それだけでない。杉本健勇、ファブリシオ、宇賀神友弥、武藤雄樹といった実力者が負傷中だったのだ。その怪我人たちも続々と合流し、各ポジションを2〜3人のレギュラークラスで争っている。

「本当に、競争が激しい。選手層に関してはJリーグでトップだと思います」

 そう語るのは、左SBの山中亮輔だ。YBCルヴァンカップのベガルタ仙台戦、湘南戦でスタメンに指名され、いずれの試合でもアシストをマークし、存在感を示した。


 とはいえ、左SBも宇賀神、荻原拓也とライバルの多い激戦区。定位置を盤石なものにするために余念がない。

「この期間にポジションを奪われないように、気を抜かないようにしています。中断になったことで、そのあと連戦になってくる。チームとして選手層が厚いのはいいことですけど、個人的には連戦になっても試合に出続けたいと思っていて。

 ウガくんも、オギも試合に出れば必ず結果を残すと思うから、そのチャンスすら与えたくないんです。それにはコンディショニングが大事になってくるから、自分にできることは全部やろうと思っています」

 ポジションを争うライバルにチャンスすら与えたくない――。この強い覚悟の源には、昨シーズンの苦い経験がある。


本当に苦しかった一年


 横浜F・マリノスでは不動の左SBだったが、さらなるステップアップを睨んだ浦和に加入した。しかし、ウイングバックへの適応に苦労すると、宇賀神とのポジション争いに敗れ、ベンチ外となる試合もあった。

「去年は本当に苦しかったです。ベンチにも入れない時期が続いたのはプロ1年目以来。しかも古巣が優勝して、自分は何をやっているんだろうって……。

 でも、そのぶん、今年はやってやるぞと思っていたし、ここ2試合は得点に絡むことができた。ただ、これを続けていかないと意味がない。パフォーマンスに波がなければ、ポジションは奪われないと思うので、そこを今、意識してやっています」

増える選択肢


 昨年のリベンジを果たすうえで山中にとって大きいのが3-4-2-1から4-4-2へのシステム変更だ。これにより、慣れ親しんだ左SBで再びプレーできることになった。


「ウイングバックだとサイドに張り付かないといけない。それに、後ろに3人、センターバック系の選手がいるので、どうしても後ろが重くなって、僕の前や横に人がいない状況が多くてドリブルでの打開を求められた。

 SBなら前向きでボールを受けられることが多いし、縦にも横にもパスが出せて選択肢が多いから、剥がしやすい。もう180度変わりましたね」

 左サイドハーフに入る汰木康也とも、ここまで良好な関係を築けている。

「互いの立ち位置はすごく意識しています。(大槻毅)監督からは『同じレーンに立つな』と言われていて、僕はインサイドに入ることが得意だし、康也はサイドに張って仕掛けることが得意なので、互いの良さを引き出し合えています。

 相手を見ながら、どこに立ったら相手はイヤか、といったことも意識していて。あとは、僕のところでもう少しゲームコントロールして落ち着かせたり、ゲームを作っていけるようにしたいと思っています」


守るべきものができて


2月22日には入籍もした。昨年のリベンジだけでなく、守らなければならない存在のためにも頑張らなければいけないという気持ちもまた、山中を奮い立たせている。

「今年、活躍しないと、レッズで選手を続けていくことは難しいと思っています。こういうビッグクラブでは結果を求められるのは当然。今年に懸ける想いはすごく強いです」

 相手と戦況に応じてポジショニングを自在に変え、自らアシストを記録するだけでなく、ゲームメイクもできるSBへ――。

進化した山中亮輔のプレーを楽しみにしたい。

(取材/文・飯尾篤史)

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大槻毅監督 「一番大事なのは、まず一番近くの人に優しい気持ちで接すること」

2020年3月15日 15:00 浦和レッズニュース

 村井満Jリーグチェアマンによる3月9日の再延期合意の発表を受け、11日の水戸ホーリーホックとの練習試合で急きょ行ったインスタグラムでのライブ配信。

 そこには、大槻毅監督の浦和レッズサポーターへの配慮があった。


「ファン・サポーターの方に見てもらいたいという想いがあって、広報と相談して決めさせてもらいました」

 世界中に広がる新型コロナウイルスによるパニックの波。Jリーグだけでなく、欧州各国のリーグ戦も続々と延期が発表されている。こうした状況下では、サッカーのことだけを語るのは難しい、と大槻監督は言う。

「安全、健康、平和があって初めてスポーツは輝くことができるもの。専門家や世界中の方々の力を合わせてこの困難を乗り切った先で、皆さんに元気なところを見せられれば、と思っています。

 こうした状況で一番大事なのは、まず一番近くの人に優しい気持ちで接すること。選手たちにも、家族や身近な人たちに優しくすることが、ひいては我々を支えてくれる人たちの気持ちを感じることに繋がっていく。そして、ピッチ内では集中してやろう。そのメリハリが大事だと伝えています」


 チームに関して言えば、YBCルヴァンカップのベガルタ仙台戦、J1開幕節の湘南ベルマーレ戦と公式戦2連勝を飾り、最高の流れに乗っていた。このまま突っ走りたかった、というのが本音だろう。

 しかし、ネガティブなことだけではない。

「ファブリシオ、武藤(雄樹)、宇賀神(友弥)といったケガ人が戻ってきたのはポジティブな要素です。さらに、公式戦2試合をやって、改善できる部分がたくさん見つかった。中断期間にそこに取り組めるのは良かったです。シーズンが始まると、まとまった時間が取りづらい。テーマに即したトレーニングができるのは喜ばしいことです」


 当初の再開予定は18日、水曜日の仙台戦だった。中断が決まった2月25日の火曜日から3週間。大槻監督は最初の1週間を強化期間にあて、残りの2週間で仙台戦に向かっていくプランを考えていた。

「具体的に言えば、試合1週間前の11日に水戸の練習試合をやって、1週間のサイクルで作っていくイメージでした。ところが、4月4日のセレッソ大阪戦まで再延期になったので、そこからの逆算で組み直しています。

 ただ、仙台戦は水曜日、セレッソ戦は土曜日なので1週間スパンでは組めないので、そこは工夫して。セレッソの対策というより、自分たちにベクトルを向け、自分たちの成長を考えてやっていきたいと思っています」

 水戸との練習試合をライブ配信した3月11日は、日本にとって特別な日でもあった。

 9年前に起きた東日本大震災――。


 宮城県仙台市出身というだけでなく、震災当時、仙台のコーチングスタッフとしてクラブハウスで被災した大槻監督にとっても、人生観の変わる出来事だったという。

「それまでは自分がどういう風になりたい、というのが先にあったんですけど、あの日を境に自分のことよりも人のこと、自分と関わっている人がいい方向にいってもらいたいなって思うようになりましたね。クラブの将来のためとか、選手のためとか、子どもたちの未来のために仕事をすればいいんだ、という想いが強いです。

 あの時、いろんな人たちと困難を乗り越えたのは自分を逞しくしてくれたし、支えてくれる人を大事にして、いろんなものを返していきたいという気持ちを、あの日は思い出させてくれますね」

 昨シーズン、リーグ戦で14位に沈み、強化体制が刷新された浦和にとって、今シーズンはクラブの未来を左右する重要な年になる。そんなシーズンに自身が指揮を執ることの意味を、大槻監督は十分理解している。

「クラブは3年計画で、土台を作り直すと明言しています。その1年目を任されたのは、非常に大きな責任だと思っています。選手たちが思い切り走り、戦い、表現できるような環境を作り、いい競争をさせてあげたいと思っています」


 仙台戦ではアグレッシブな守備やスピーディーな速攻を、湘南戦では勝利への飽くなき執念も見せ、昨シーズンから大きく変わったのは間違いない。

 4月4日のC大阪戦では、さらに進化した姿を見せてもらいたい。

 大槻監督と選手たちの“浦和のプライド”を取り戻すチャレンジは、まだ始まったばかりだ。

(取材/文・飯尾篤史)

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ゴールを取る武藤雄樹を見せる!浦和の9番、爆発の予感。

2020年3月12日 11:24 浦和レッズニュース

 3月11日、14時46分。

浦和の静かな練習グラウンドで東日本大震災の犠牲者を悼み、黙とうをささげた。


仙台で被災した武藤雄樹は1分間じっと目を閉じ、9年前のことを思い返していた。

「毎年、この日は震災が起きたときのことを思い出します。ベガルタの選手たちは、被害の大きかった場所に足を運んだりもしました。あの光景を思い出すたびに、当たり前のようにサッカーができる日常を大切にしようと思います。家族、仲間と一緒にいられるのは特別なことです」

 当時、武藤は流通経済大を卒業し、ベガルタ仙台に加入したばかり。プロキャリアは未曾有の被害をもたらした震災とともに始まった。1年目は出場機会に恵まれずにもがきながらも、一人のプロフットボーラーとして、サッカーがもたらす力をしみじみと実感した。

「"復興のシンボルになろう"と一丸となって戦い、被災地の"希望の光"になっていたと思います。サッカーを見ている人たちの心を動かしました」

 自身はベンチメンバーから外れることも多かったが、仙台の快進撃に心を震わせた。サッカーで街全体を元気づけ、多くの人たちに生きていく勇気を与えたことが胸に刻み込まれている。

「本当に感動しました。だからこそ、いまでもファン・サポーターのために頑張らないといけないと思っています」


 あれから9年。現在、新型コロナウイルスの感染拡大の影響により、Jリーグは中断を余儀なくされている。

震災を乗り越えてきた武藤は、リーグ再開を心待ちにする人たちがいる有り難みをひしひしと感じている。再延期が決まっても、モチベーションを落とすことはない。

 昨年10月に右肩を脱臼して約4カ月の長期離脱を強いられたが、今年の2月下旬には完全復帰。

中断期間の時間もプラスに捉え、コンディションを上げることに余念がない。練習から2トップの一角として持ち味を発揮している。


3月11日の水戸ホーリーホックとの練習試合では、2ゴールをマーク。得意のワンタッチゴールでもネットを揺らした。

「"ごっつあん"でしたけどね」と照れ笑いを浮かべつつも、顔には充実感が漂う。真骨頂のゴールには、一家言持っている。

「ワンタッチゴールが多いのは、駆け引きして点を取れる場所に入っていけるからです。ここ数年そういったプレーをあまり出せていませんが、今季は自分の良さを出せるポジションを任されています」

 持ち場が変われば、役割も変わる。取り組むべきことも変わった。小雨がぱらつくある日の練習後、居残りでひたすらシュートを打ち込んでいた。

ゴール中央付近でパスを受け、素早く反転すると、すかさず足を振り抜く。そのほとんどが、GKの手が届かないコースへ飛んでいた。


「中央でセンターバックと勝負する機会が増えるので、この練習を取り入れました」

 昨季はシーズンを通して右足首の痛みに悩まされ、練習で100%の力を注げない日もあったが、いまは万全だ。

もどかしさが消えて、日々サッカーを楽しんでいる。もちろん、置かれている立場は重々承知。2トップのポジションを争う興梠慎三、レオナルド、杉本健勇がいずれも公式戦ですでに結果を残しており、刺激も受けている。

「最初のワンチャンスを生かしたい」


 浦和に加入して6年目。9番を背負うだけの実績を残してきたが、昨季はリーグ戦で1ゴールどまり。危機感はある。今季は不退転の覚悟で臨むつもりだ。

「結果を残さないと先はない。浦和1年目(15年は13ゴール)のようなゴールを取る武藤雄樹を見せたい。あとは自分次第だと思っています。こんな楽しみなシーズンはない」

 抜け目のない点取り屋は、リーグ再開後の爆発に自信をにじませていた。

(取材/文・杉園昌之)

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cat_20_issue_oa-urawaredsnews oa-urawaredsnews_0_16f37c83afb7_“聞き上手” 宇賀神友弥。高いコミュニケーション能力が生み出す理想の縦関係 16f37c83afb7 16f37c83afb7 “聞き上手” 宇賀神友弥。高いコミュニケーション能力が生み出す理想の縦関係 oa-urawaredsnews 0

“聞き上手” 宇賀神友弥。高いコミュニケーション能力が生み出す理想の縦関係

2020年3月9日 08:50 浦和レッズニュース

 冷たい小雨が降り注ぐなか、中断期間中の紅白戦は本番さながらにヒートアップしていた。


左サイドバックの山中亮輔が攻め上がると、ビブスを着た宇賀神友弥が素早く体を寄せに行く。


ただ、マッチアップする場面はそれほど多くない。だからこそ、新たな持ち場としてトライする右サイドバックで感じることがあった。

「ピッチで対峙すると、より分かります。ヤマ(山中)は中に入っていくタイミング、ポジショニングが格段にうまい。マークをつかみづらいんです。横浜F・マリノス時代にやっていたことが体に染み付いているのでしょうね。いいところは盗みたい。ライバルではありますが、お手本でもあります」

 3月23日で32歳を迎えるが、謙虚に現実を見つめて、他者から学ぶ姿勢を忘れていない。

今年1月の始動から約1カ月間、ピッチ脇から仲間たちのプレーを眺めてきた。


沖縄キャンプ期間中もケガの影響でずっと別メニューで調整し、スタイルチェンジに挑むチームを観察していた。昨季同様、大槻毅監督が指揮を執っているものの、今季は戦い方が変わり、システムも3-4-2-1から4-4-2に変更。プロ11年目の宇賀神が長年慣れ親しんだ左ウイングバックのポジションはもうない。

離脱中は左サイドバックに入るイメージを膨らませていた。しかし、復帰後の実戦練習では左サイドだけではなく、右サイドでプレーすることも多い。想定外のポジションにも、もともと右利きの本人は前向きにとらえている。

「両方できるのは僕の良さ。問題なくできると思います。チャンスが来たときに、どちらでもできるところを見せたい」

 左右のポジションを柔軟にこなせるのは魅力ではあるが、ストロングポイントは目に見えるものだけではない。かねてからよく口にしていた。

「味方の持ち味をうまく引き出すのが、僕の持ち味」


 まさに今季のサイドバックに求められる要素の一つだろう。攻撃のカギを握るサイドハーフには関根貴大、汰木康也、マルティノスと名うてのドリブラーが配置されている。前に力強くボールを運べる長澤和輝、ファブリシオらもいる。

その後ろに構える本人は自らの役どころをよく理解している。

「"縦関係"で組む選手には、まず聞きます。どういうプレーをしたいのか、そのためにサイドバックの僕にどうしてほしいのかと。そこに年齢もキャリアも関係ないです。まずは相手の話を聞く。そこから始めます。

どうしても難しいときは言いますが、自分のプレーを優先して、こちらから要求することはほとんどないですね。ボールを運べる人、ドリブラーには1対1の局面をつくり出してやりたい」

 そのためにはおとりの動きしかり、徹底して黒子に徹する。


コンビネーションのすり合わせには、コミュニケーションは欠かせない。その能力には自信を持っている。

毎年のように浦和で定位置をつかみ続けてきた術でもある。秘訣は自他ともに認める聞き上手であること。信頼関係を築けば、守備のコーチングでも厳しく言える。

「大槻監督は"前コーチングと言うのですが、前の人をどう動かすかが大事です」

 試合中には何度も味方の名前を大きな声で呼ぶ。言われてイライラするタイプもいると言うが、そのときはしっかりフォローしている。

「怒っているわけではないんだ。名前を呼べば、体が自然に反応するから、言っているだけだよって。うるさいかもしれないけど、俺は言い続けるよと」


 現状、置かれている立場が厳しいことも分かっている。それでも、表情は明るい。

「正直なところ、いまはポジション争いにも加われていないと思います。でも、再開後に連戦が続けば、必ずチャンスがくると信じています」

 思うように体を動かせず、もどかしさを感じていた昨季とは全く違う。昨夏に左胸を負傷し、その影響で様々な箇所を痛めた。寝返りを打って苦しみ、くしゃみしただけで苦痛を感じたのが嘘のようである。


「いまは思い切ってプレーできているので、楽しいですよ。新しいポジションは探り探りですが、伸びしろはあると思っています」

 自然と声も弾む。一からポジション取りに励むことを誓い、リーグ再開に向けて意気込んでいた。

「新型コロナウイルスの感染拡大でみんなストレスを感じていると思いますが、それを吹き飛ばすようなプレーを見せたい」

 逆境に負けない男が、埼玉スタジアムのピッチで躍動する日が待ち遠しい。

(取材/文・杉園昌之)

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痛みよりも大切なプレーの感覚。レガースに見える杉本健勇の“こだわり”

2020年3月5日 17:54 浦和レッズニュース

 187cmの長身選手ながら、しなやかな足さばきでボールをすっと収めてしまう。

2トップの一角を担う杉本健勇の懐の深いポストワークは、言わずもがな一級品。


繊細なボールタッチは幼い頃からの練習のたまものだが、すらりと長いヒザ下にも"小さい"秘密が隠されている。

ソックスを下げると、すねの下部分に小型のレガース(すね当て)がちらりと見える。大柄な選手のそれとしては、あまりにも小さい。記者がすねの部分を指差すと、本人はいたずらっぽく笑う。


「誰がそんなネタを知りたいん? 僕は昔からずっと小さい物を付けています。理由はシンプル。ボールを扱う感覚を一番大事にしたいから。足に異物を入れると、多少なりとも違和感みたいなものがあるでしょ? だから、極力小さい物を選んでいるんです」

 前線で体を張るFWはマーカーから激しく体をぶつけられ、自らの足で相手のタックルをブロックすることもある。すねを蹴られたときの痛みは想像に難くない。

もちろん、杉本はすべて承知の上である。

「すねを削られれば、当たり前のように痛いですよ。それでも、痛みよりも大事なものがあるから。僕はプレーの感覚のほうを大切にしたい」

 大きなすねに傷を負うこともあれば、あざができるのも日常茶飯事。球際でタフに戦うストライカーは、覚悟を決めている。

「痛みは、耐えればいいんで」

 今季はセレッソ大阪時代から馴染みのある2トップの一角に入り、ルヴァンカップの開幕戦から躍動。ベガルタ仙台戦ではPKを含む2ゴールをマークした。


昨季の天皇杯で失敗した場面も頭に一瞬よぎったが、埼玉スタジアムの真っ赤に染まったゴール裏の目の前で苦い思い出を払拭した。


リーグ初戦の湘南ベルマーレ戦はケガでベンチメンバーから外れたものの、リーグ中断期間中に戦列に復帰。3月4日からは全メニューをこなし、ハツラツとプレーしている。

3月5日の紅白戦では興梠慎三、レオナルドと2トップを組み、コンビネーションの向上に余念がない。攻撃面だけではなく、プレスのかけ方なども確認。FWながら失点を減らす努力も怠らない。

「いまは試合がないので、メリハリのトレーニングをしています。個人的にも良かったところはもっと良くしていきたい。ルヴァンカップ、リーグと2連勝しているけど、修正点はたくさんある。失点を減らさないと。もう一度、練習から見直しています」

 ファン・サポーターの期待はひしひしと感じており、中断中のトレーニングも必死に取り組んでいる。リーグ再開に向けて、強い意欲を口にする。

「より攻撃的なサッカーを見せたい」

 2年目に懸ける27歳の言葉には力がこもっていた。

(取材/文・杉園昌之)

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「チーム一丸」で再開後の連戦へ! ~3月3日(火) トレーニング~

2020年3月3日 18:44 浦和レッズニュース

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受けて、Jリーグは中断中。

そのなかでも、選手たちは3月18日に予定されているリーグ再開に向けて、懸命にトレーニングに打ち込んでいる。


 YBCルヴァンカップの初戦に続き、J1の開幕戦でも勝利を収めた浦和レッズは、おごることなく、いま一度足元から見つめ直す作業に余念がない。

 うららな春の日差しが差し込んだ3月3日、GKを絡めた最終ラインからのビルドアップを何度も確認していた。

 「キーパーの持ち出しが大事だぞ」。


 大槻毅監督の大きな声が響き渡る。プレスをかけるFWに対しても注文をつける。

 「(興梠)慎三、プレス強くな。武藤、スライディングしてでもボールを奪え」。

 厳しいフォアチェックをかわし、安定したビルドアップを見せていたのはルヴァンカップとリーグ戦でベンチスタートとなった槙野智章。


うまくボールを前に運んで、鋭い縦パスを入れる。一方、今季加入したばかりのトーマス デンは必死に連係面の向上に力を注いでいる。同じCBを務める鈴木大輔は言う。


「1対1は強いし、カバーリング能力もある。特徴はつかんできた。あとは時間が解決してくれる」

 開幕戦では鈴木と岩波拓也のセットでCBを組んだが、練習から高いパフォーマンスを披露する槙野をはじめ、マウリシオ、トーマスも虎視眈々とスタメンの座を狙っている。


 ケガ人の本格的な復帰も、ポジション争いを激化させている。

左サイドで魂のこもったタックルを仕掛けるのは宇賀神友弥だ。1対1の強さは相変わらず。ポジショニングも良く、簡単に裏を取られることはない。


リーグ開幕から山中亮輔が好クロスからアシストをマークするなど、左サイドバックとして存在感を示したが、今年で32歳を迎える経験豊富な男も負けてはいない。

 左サイドハーフには、汰木康也、マルティノスとタイプの異なるブラジル人が定位置争いに加わった。

元気なトサカがトレードマークのファブリシオである。


カットインからの豪快なシュートは、ストライカーのそれ。左サイドでのプレー経験もあり、「チームに貢献できる」と意気込む。得点への意欲も十分だ。

「ミドルシュートや前線でのコンビネーションの部分を見せていきたい。今年はフィニッシュのところでしっかり決めて、たくさんのゴールを取りたい」

 2トップの一角に戻った武藤雄樹もハツラツとプレー。ワンツーで切り込んでチャンスをつくったかと思えば、素早い動き出しで何度も裏を狙っていた。興梠慎三とレオナルドのコンビも安泰ではないだろう。各ポジションとも選手層は分厚くなってきている。


 リーグ戦、ルヴァンカップの延期により、過密日程になるのはほぼ確実。今季から副キャプテンを務める鈴木は、先を見据えて言葉に力を込めた。

「どこかで連戦になってくると思う。そこでチーム力が試される。誰がどのポジションで出ても、自分たちのサッカーができるようにしている」

 リーグ再開に備え、総力戦で戦う準備を整えている。

(取材/文・杉園昌之)

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Jリーグ 公式戦延期。プラスとマイナス、どちらにするかは自分たち次第

2020年2月28日 10:43 浦和レッズニュース

 2月25日、新型コロナウイルス感染予防対策及び拡散防止のため、3月15日までのすべての公式戦が開催延期となった。




 その決定を聞き、取材に応じた槙野智章は次のように話してくれた。


「個人的にもそうですし、各選手が新型コロナウイルスのことについて、前もっていろいろな情報を聞いていたと思います。コンサートやいろいろなことが中止になっている中で、Jリーグもファンサービスなどで対策をとってきてはいましたけど、いずれはそういうこともあるのではないかと頭の片隅には入れていました。
 
 試合をやりたい気持ちもありますが、僕ら選手もファン・サポーターのみなさんがあってこそなので、まずはみなさんの安全面を考慮することが非常に大切だと思います」

 今シーズンよりキャプテンに就任した西川周作も感染拡大を防止するための決定を尊重した。そのうえで、選手たちの代表らしく日頃の感謝をも口にした。


「サッカーをやれているのは僕たちだけの力ではないですし、たくさんの方がいて試合が開催できている。当たり前のように(試合が)行われていることに感謝しなければならないと思いますし、いろいろな方たちの支えがあって(試合が)できているんだということを、延期が決まって改めて感じています」

 浦和レッズとしては、今シーズン戦ったルヴァンカップの仙台戦で5−2、J1開幕戦となった湘南戦で3−2と、ともに勝利し、幸先のいいスタートを切っていた。それだけにここでの中断は、追い風に乗っていたチームにとっても、選手たちにとっても悔しさがあるだろう。

ただ、選手たちは悲観してばかりではなかった。西川が続ける。

「練習をやらないわけではないと思いますので、またしっかりとした日程が決まってくると思いますが、そこを目指しながらうまく調整していきたいと思います。

 非常に良いキャンプができましたし、公式戦で2連勝してチームも波に乗りかけていたところでもありますが、ケガ人が復帰したりコンディションが上がらない選手が上げたりできる期間になると思いますので、この時間をポジティブに捉えながらみんなでやっていきたいと思います」

 今シーズン戦った2試合で8得点を挙げているように、確実に得点力はアップしている。一方で、仙台戦、湘南戦ともに2失点ずつを喫している。この中断で勢いを削がれるのではなく、さらに勢いを増す方向へと持っていけばいい。

今シーズンはチームの中心になると意気込む橋岡が、こんな力強いコメントを発してくれた。


「マイナスになることもあればプラスになることもあると思いますが、どちらにするかは自分たち次第だと思っています。プラスにできれば良い再スタートを切れると思いますし、いろんな部分で修正やレベルアップできる期間だと思いますので、プラスに捉えています」

 現時点で中断期間は3月15日までとなっている。再開されるのは約3週間後である。




それまでの期間をいかにチームとして過ごすのか。また、個々としてさらにレベルアップするのか。キャンプから取り組み、実現できた部分はより精度を磨き、改善すべき部分は確実に修正していく。前向きな選手たちの声を聞けば、より積極的な浦和レッズが見られることが確信できる。

その期待を抱きながら、再びスタジアムで集える日を心待ちにしたい。

(取材/文・原田大輔)

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大槻監督 “J開幕戦” 何としてでも勝ちたい

2020年2月20日 17:17 浦和レッズニュース

 リーグ開幕戦を翌日に控え、大槻毅監督が2月20日に定例会見に出席し、湘南ベルマーレ戦についての意気込みなどを語った。

 試合は金曜のナイトゲームに予定されていることもあり、最初に「去年は金曜日の試合でなかなか結果が出なかったが……」という質問が飛ぶと、大槻監督は「なかなかって、ほとんど出ませんでしたね」と笑顔を覗かせると、表情を引き締めて答えた。

「今回のようにJリーグだけを考えた金Jだった場合と次にACLなどを控えていた金Jは違う中身だったかなとは思っています。結果的には勝てなかったので、明日は何としても勝ちたいと思っています」

 さらに対戦相手の湘南に対しての印象を問われると、YBCルヴァンカップの大分トリニータ戦を確認したうえで、それが当てにならないことを強調した。

「先日のルヴァンカップとは中盤のメンバーも代わってくるのかなと思いますし、あとはケガ人がいるようにも見受けられます。システムも変えてきていると思います。いろんなチームのスタイルはありながらも、やる人が変わると少しずつ変わってくると思います。

 特に指揮を執る人が変われば、絶対に変わるものがあると思います。そういったところを見ています。ルヴァンカップの大分戦も見ましたが、まだわからないことの方が多いです」

 一方、自チームのスタメンについて「固定していきたいと思っているのか」と問われた大槻監督は「トレーニングで良かった選手を見逃さないようにしたい」と、ルヴァンカップからのメンバーの入れ替えも示唆した。

「どういう形で固まっていくかは分かりませんが、トレーニングの中で良かった選手は見逃さずにしたいですし、起用していきたいと思っています。その上でメンバーが11人揃って『このメンバー』ということが固まっているということではなく、我々のやり方でいつも良い選手が出ていくというやり方の方に固まっていくような方向を目指していきたいと思っています。

 その基準となるのがキャンプでやってきたことだと思うので、もう一度内容として1試合やって見えたものもあるので、そういったことをしっかりと加味しながらメンバーを選んで戦っていきたいなと思っています」

 また、今季から本格的に使用されることになるVARに関しては、「プレーし続けることが重要だ」と強調した。

「去年、我々はルヴァンカップのプライムステージで鹿島と対戦した時にVARが採用されていて、アウェイの試合でも点が入った後に少し間が空いたり、もう経験しています。VARを見る、見ないも含めて、去年試合をやった時にボックスの中で怪しい場面があったら必ず見るものかなと思っていましたが、そうでもありませんでした。

 きちんと笛が鳴るまでプレーをして、オフサイドはゴールに向かっていると流して続けるということもありますから、とにかく笛が鳴るまで、何かが決まるまではプレーし続けることが重要なのかなと思っています」

 最後に改めて「今シーズンのリーグ戦の目標は?」と問われると、大槻監督はきっぱりと、こう答えた。

「ACL出場圏内と得失点差プラス二桁です」

(浦和レッズオフィシャルメディア)

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柴戸海 今年活躍できなければ、もうない

2020年2月20日 16:31 浦和レッズニュース

 YBCルヴァンカップの仙台戦を終えたあと、柴戸海は今季に懸ける覚悟を口にした。

「今年活躍できなければ、もうないなというくらいの気持ちで挑んでいます」

 もうない、というのは、浦和レッズにおける自身の未来のこと。大卒3年目という立ち位置を意識したうえでの発言だった。

 明治大学から浦和に加入したばかりの18年シーズンは、リーグ戦9試合に出場して1ゴール。主に試合終盤に投入されるクローザーとしての役割だったが、新人としてはまずまずの成績と言っていい。

 プロ2年目の昨季はリーグ戦20試合に出場した。出場機会を一気に伸ばしたが、しかし、柴戸にとっては納得のいくものではなかった。

 出番を2倍以上に増やしたものの、先発出場は11試合に留まった。残りの9試合はやはり試合終盤に投入されるクローザー的な役割で、ベンチ外の試合も多かった。

「去年はレギュラーを掴むという目標を立てていたので、悔しい想いを味わいました。その悔しさを糧に今年はやっていきたい。相当な覚悟を持って、やっていきたいと思っています」

 その覚悟がひとつの成果として表れたのが、仙台戦だったのだ。今季最初の公式戦でスタメンに指名され、柏木陽介とボランチのコンビを組んだ。柏木のサポートに徹しつつ、中盤でボールを奪ってショートカウンターを狙うチーム前述において大きな役割を果たしたのだ。


「手応えはすごくありました。チームとしてキャンプでやってきたことが出せた。チーム全体で生き物のように連動できたからこそ、コンパクトな陣形から、奪った瞬間の攻撃、奪われた瞬間の守備に繋がったのかなと思います」

 ルヴァンカップとはいえ、「本当に勝負の年」と位置づける今季の最初の公式戦で先発したことの意味は、柴戸にとって計り知れないほど大きいはずだ。柴戸自身も「いい流れに乗れたと思う」と振り返っている。

 だが、勝負がここからということも分かっている。柏木、青木拓矢、エヴェルトン、阿部勇樹が控えるボランチが激戦区だということは、他でもない柴戸自身がよく理解しているからだ。

「上が抜けたからポジョションを与えられたではなく、自分の手でポジションを掴み取り、先輩たちに危機感を与えられるようになりたい。それくらいじゃないと、チームの中心選手になれない。期待されているもの以上を出したいと思います」

 覚悟のシーズンはまだ始まったばかり。

 20年を右肩上がりのシーズンにできたなら、かつての鈴木啓太のように浦和レッズの中盤に欠かせない男になるに違いない。

(取材/文・飯尾篤史)

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