リーグ戦においては4試合ぶりの勝利だった。
アウェイで戦ったJ1第19節の柏レイソル戦。前節から中2日ということもあり、先発を9人入れ替えながら2-0で勝利した結果は、チームとしての総合力が高まっている証だ。
リカルド ロドリゲス監督も、試合後にはチーム力にフォーカスした。
「得点したふたりだけでなく、全員がすごくいい試合をしてくれた。それはパフォーマンスも、試合に臨む意気込みや気持ち、インテンシティのところも高く保ってくれました。前節とは多くの選手が変わりながら、勝利できたことはポジティブな結果だと思っています」
キャプテンマークを巻いて先発出場した宇賀神友弥が64分に、約2年ぶりとなるゴールを決めて先制すると、81分にはCKの流れから柴戸海が今季初ゴールをマーク。守備でも今季リーグ戦初先発となったトーマス デンやリーグ戦では7試合ぶりにゴールマウスを守った西川周作を中心に無失点で終えた。
試合序盤こそ相手のプレッシャーに苦しみ、押し込まれる場面もあったが、巻き返していくなかで光ったのは、柴戸と伊藤敦樹のダブルボランチだった。
前半の飲水タイムを終えると、柴戸はポジションを修正。ふたりのセンターバックとともにビルドアップに加わり、相手のプレッシャーの矛先を分散させると、攻撃にテンポとリズムをもたらした。
柴戸よりも前にポジションを取ることの多かった伊藤は、高い位置でボールを奪うと、決定機につながるパスを配球。そのまま駆け上がると、ゴール前に顔を出した。
39分に迎えた決定機は、まさにそうした効果から生まれた。
自陣でボールを奪った伊藤は、前線の武藤雄樹につけ、ゴール前までランニングすると、リターンを受けてシュートを狙った。惜しくもゴール右に逸れたが、伊藤のボール奪取能力、攻撃に顔を出せるふたつの魅力が発揮された瞬間だった。
柴戸も負けずに、75分にはキャスパー ユンカーが作り出したチャンスに走り込んだ。ユンカーのラストパスに合わせることはできなかったが、攻撃でも結果を残したいという姿勢が、81分のゴールにつながったのだろう。
ただし、柴戸は試合後、厳しい自己評価を下している。
「自分としてはまだまだとしか、正直、思っていない。前につけられる瞬間を逃していることや前を向けるのに向けていない場面がまだまだあります。後ろからつなぐ部分は、昨年、一昨年と比べると、できるようにはなっていると思いますが、ゴールを脅かすパスやアシスト、得点を奪うプレーについては、まだ後ろへの重心が重いと自分自身は感じています。タイミングやチームとしてのバランスもありますが、もっと質と回数を上げていきたいと思っています」
おそらく、その思いは、柴戸だけでなく、伊藤も同じなのだろう。ふたりが思い描く理想は遙か先にある。チーム全体のバランスを取りつつ、攻守に躍動したふたりのボランチの姿と、飽くなき向上心に、浦和レッズの伸び代を見た。
(取材/文・原田大輔)
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