あれ?ちょっと身体が変わったかな?勘違いかな?
1月18日、久しぶりに鮎川峻と向き合った時、率直にそう感じた。
胸板が厚くなり、肩幅も広くなった。下半身もドッシリと。
昨年1年間、厳しいトレーニングの賜物ですか?
「その感覚は、勘違いではないです」
鮎川は嬉しそうに笑った。
1対1の強さには定評のあるベテラン清水航平(オレンジのビブス)と球際で戦い、一歩も引かずにボールを奪いきった鮎川。逞しくなった(1月25日撮影)
池田誠剛フィジカルコーチの指導のもとで重い縄を振ったり、股割りをした状態でのウォークで腰やお尻の筋肉を鍛えたり。
「当たり負けしない身体づくりをしたい」と願った彼は昨年からずっと、トレーニングをやり続けていた。
紅白戦に参加できなくても腐らない。全体練習が終わり、他の選手たちが帰途についた後も1人でボールを蹴り、走り、縄を振った。
若き日の青山敏弘のように、孤独な中でも鍛錬を欠かさなかった。
今や鮎川の肉体は強靱な鋼のよう。
対磐田戦(2月10日)、大井健太郎や大武峻といった経験豊富で屈強なCBに身体をぶつけられても164㎝のストライカーは体勢を崩さずにボールを収め、チャンスを次々と演出。
自らゴールを決めただけでなく、果敢なハイプレスから東俊希のゴールを演出するなどの活躍で勝利を導いた。
「峻の運動量や推進力、連続性は大きな武器。やり続けたことが成長につながっている」と城福浩監督は高く評価。
前線からの守備は鮎川の大きな特徴。野上結貴(オレンジビブスの選手)に対しても積極的にプレッシャーをかけ、挑みかかる(1月25日撮影)
主力組でプレーする機会も増え、練習試合でも3試合連続ゴール。開幕戦(2月27日)でのメンバー入り、いや先発の可能性すらある。
「できることを続けて(開幕メンバー入りを)狙っていきたい」と語る鮎川峻に対し、指揮官は「十分に選択肢として入ってくる」。
昨年、公式戦出場ゼロの若者に、期待は高まっている。
鮎川峻(あゆかわ・しゅん)
2001年9月15日生まれ。愛知県出身。サンフレッチェ広島ユース時代には高円宮杯優勝(2018年)。決勝の対鹿島ユース戦では東俊希のクロスをヘッドでゴールを決め、優勝に大きく貢献した。今季はFWだけでなくサイドバックでもプレーし、練習試合(非公開)でゴールも決めている。
【中野和也の「熱闘サンフレッチェ日誌」】
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