先日実施した「2021年を振り返るアンケート」にたくさんのご回答を頂き、ありがとうございました。
「あなたの胸を熱くした選手」には、やはりというか、日本男子のエース、錦織圭への言及が最も多かったです。
彼が帰ってきた!
躍動感、ショットの鋭さなど、”彼“が帰って来た!と、胸が熱くなりました。
今夏——。多くのテニスファンが、この想いを共有したはずだ。
東京オリンピックの初戦、対アンドレイ・ルブレフ戦。世界7位を6-3,6-4のスコアで圧倒した“彼”とは、もったいぶるまでもなく、錦織圭である。
ルブレフに快勝して復活の狼煙を上げたことを感じた。絶対にまだまだやれるはず!
何度となくケガから復活してのオリンピック 1回戦、好調のルブレフに勝った試合。本当にケガがなければトップ10にいる選手なんだと思った。
オリンピックで3大会連続ベスト8は本当に素晴らしい。残念なことにマスコミでは金メダリストだけが話題になった。炎天下の中、ルブレフに勝利したことはとても嬉しかった。
専門家の証言
そのほか、多くのファンが寄せて下さった感動のコメントを、冷静かつ的確な分析で裏付けた専門家が居る。
錦織の試合を全てコートサイドで見ていた、解説者の森上亜希子さんだ。
「特に良く見えたのが、フォアハンドのストローク。打った瞬間は、長くてアウトになるかなと思ったボールが、ベースラインの直前でグイっと落ちるんです。それは錦織選手が一番勝っていた頃のショットでした」
オリンピック直後、嬉しそうに振り返る森上さんの言葉が印象に残った。
この勝利がファンや関係者の心を揺さぶったのは、今季のスタートで不運に見舞われたことも大きい。
昨年終盤にツアーを離れ、万全の準備で挑むはずだった2月序盤のATPカップ。
ところが、オーストラリア渡航便の同乗者に新型コロナ陽性者が出たため、錦織も2週間の完全隔離を余儀なくされたのだ。
2週間、ホテルの部屋から一歩も出ることが許されず、ぶっつけ本番で挑んだATPカップ。しかも4か月ぶりの実戦だ。本来の力が出せるはずもない。
完全復活の希望
だがその逆境でも錦織は、限られた手札で勝利への扉をこじ開けに行く。
全豪オープン会場で、隔離明けに急ピッチで調整に励む錦織。サーブのフォームも、右足を軸足に引き寄せるものに変更していた
ATP Cupのシュワルツマン戦。やはりこの人の試合は魅せられるなと思った。
フルセットの接戦となったディエゴ・シュワルツマンとの戦いは、本人の落胆とは裏腹に、見る者に完全復活への希望を与えた。
今季の終盤は持病とも言える腰の痛みが出たために、予定より一か月ほど短いシーズンを終えた錦織。
ただその間に父となり、日本テニス界の未来を担うジュニア選手たちとも交流し、新たな情熱の炎を胸に宿しもしたようだ。
今年は故障がちで、浮き沈みの激しい一年だったが、まだまだトップ10復活を期待したいです。
来年、勝負の年かと。ホントにがんばってできることならトップに返り咲いてほしいです。
そう。新たな年を迎えるたび、やはり錦織圭のプレーを見るのが、楽しみだ。
【内田暁「それぞれのセンターコート」】