(撮影:御堂義乘)
「今の状況は戦時下とよく似ています」……夏に行ったインタビューでも、そう語っていた美輪明宏さん(85)。第3波が猛威を振るい、相変わらず収束が見えないコロナ禍のなか迎える新年を、私たちはどう生きればいいのだろう? 美輪さんからの新しい1年に歩み出す希望の提言ーー。
’20年は、世界中が新型コロナウイルスに翻弄され続ける1年となりました。
ここにきて国内では東京、大阪、北海道、兵庫など各地で、一日での新規感染者数が過去最多を記録するなど、第3波の猛威は、すでに第1波、第2波を超える危険な状態だと感じております。
11月、世界で最もコロナ感染者が多い国アメリカで、大統領選挙が行われました。
バイデンさんが勝利しましたが、結果に納得しないトランプさんは、「最高裁まで争う」と言っています。でも、もう半分折れてきているようですけど(笑)。
時代遅れのトランプさんよりいいリーダーは、世界にごまんといますよ。
バイデンさんは選挙期間中、コロナ対策について、国民に強く訴えかけていましたね。その内容は常識的で、トランプさんと違ってまともなことを言っていました。
今回の選挙はアメリカ国内を二分しました。理知的な人と感情的な人が半々に分かれた−−。そう表現したほうがわかりやすいかもしれません。
感情的な人はみんなトランプさんを支持し、理知的な人は“反トランプ”、つまりバイデンさんに投票した。その結果、“反トランプ票”が僅差で上回ったという感じです。
日本でも7年9カ月近く続いた安倍政権から、菅政権に代わりました。
菅さんはこれまで自らが命令し、自分の主義主張を押し通す習慣がなかった人でしょ? 長い間下働きをして、上に言われたことをそのまま実行し、下へ伝えることをずっとやってきた、そういう習性が身に付いている人に見えます。
もちろん、菅さん一人が全部できるわけではないし、財界などのしがらみもあるでしょう。
それにしても、この危機的状況のコロナ禍で、主体性のない国会答弁を聞いていると、国民の皆さんも不安を感じていらっしゃるのではないでしょうか。
「女性自身」2021年1月5日・12日合併号 掲載