米国では、自宅やホテルの部屋に子どもだけ残して外出することを禁じている州が多い。米オハイオ州で、仕事のためにやむなく子どもを置いて出た母親が逮捕、起訴され波紋を拡げている。NBC系列のWFMJが報じた。
リバティ・タウンシップに住むシングルマザーのシャイナ・ベルさん(24)は、10歳と2歳の娘をモーテルの部屋に残し、職場のピザ店に出勤した。部屋に子どもしかいないことに気が付いた第三者が警察に通報。駆けつけた警官により子どもたちは保護され、ピザ店で働いていたベルさんは児童虐待容疑で逮捕された。子どもたちは父親に引き渡されたという。
この当局の対応があまりに無慈悲だと、Twitterではベルさんに同情が集まっている。アリゾナ州議会議員のルーベン・ガレゴ氏はTwitterで「女性はやれば邪魔され、やらなければやはり邪魔される。子どもと一緒に家にいて、政府の補助を受ければ寄生虫と呼ばれ、わずかな賃金のために働きに出れば、シッター代を払い続けられず刑務所に行く」と、怒りをあらわにした。
新型コロナウイルスの影響で職を失う人が激増している今、ベルさんは子どもを育てていくためにも解雇されることは絶対に避けたかったはずだ。この日も1時間ごとに娘に電話して様子をうかがい、22時頃までには帰ると話していたという。ベルさんは逮捕され、子どもとも引き離され、今は住む家もない。
そんな彼女の窮状を救うべく、クラウドファンディングサイト「GoFundMe」でキャンペーンが立ち上がった。ベルさんと子どもたちに安全な住居を提供するための資金として、17日午後の時点でおよそ8万ドル(約850万円)の善意が寄せられている。
今回のケースをきっかけに、Twitter上では普遍的なチャイルドケアを整備すべきだとの声が多く挙がっている。また、最低賃金を15ドルに引き上げ、新型コロナウイルスの救済措置は女性を優先するべきだと主張する団体にとっても、議会に働きかける際の大きな材料にもなっているようだ。