「外食費は減った半面、自炊のための食材費が昨年の同じ月と比べて、4,691円も増えました。また、リモートワーク移行で通信費も月2,000円近く増えていますね」
1月に発表された最新(’20年11月)の「家計調査」を分析するのは、経済評論家の加谷珪一さんだ。
各世帯の消費傾向を調べるために総務省が行っている家計調査を見ると、“おこもり生活”で外食費や旅行代などは減る一方、急増している出費があることがわかった。
■コロナ禍で家計はこんなに変わった!
2人以上の家族がいる働いている世帯の場合(世帯主の平均年齢は50.2歳)。
〈支出が増えたもの〉前年同月比(2020年11月の額)
・食材費※1:月4,691円増(月6万6,464円)
・水道光熱費:月812円増(月1万9,376円)
・家電購入代※2:年換算1万3,008円増(年換算4万9,812円)
・台所や水回りの消耗品の購入代※3:月677円増(月3,654円)
・マスクや体温計などの医療用品の購入代:月754円増(月3,321円)
・通信費:月1,858円増(月1万7,375円)
・教育費:月2,617円増(月1万3,738円)
・仕送り金:月1,947円増(月7,440円)
〈支出が減ったもの〉前年同月比(2020年11月の額)
・外食費:月1,762円減(月1万6,046円)
・洋服や靴代:月2,356円減(月1万2,338円)
・交通費:月2,323円減(月4,212円)
・旅行代※4:年換算4万6,128円減(年換算3万7,572円)
・交際費:月1,477円減(月7,820円)
※2020年11月と2019年11月の「家計調査」より本誌作成。すべて「二人以上の世帯、うち勤労者世帯」の数値。()内は2020年の金額。※1:飲料や酒類、弁当や惣菜なども含む自宅で消費するすべての飲食料品の購入費。※2:家計調査の「家庭用耐久財」に12を乗じて計算。※3:家計調査の「家事用消耗品」。ティッシュ・トイレットペーパー、洗剤など、料理や洗濯、掃除などに使う消耗品。※4:家計調査「宿泊料」と「パック旅行費」の合計を12を乗じて計算。
“無駄な外食”や“洋服の衝動買い”は切り詰めて……。そんな今までの節約の常識が変わりつつある。コロナ時代に無駄な出費を減らすためにどうすればいいのか、加谷さんに聞いた。
【節約ワザ1】メリハリまとめ買いで米なら月2,000円の節約
リモートワークやリモート授業で自宅での食事機会が増えている。
「パスタやインスタント麺など、長期間保存ができるうえに、簡単に作れるものをまとめ買いすれば経済的で便利です」(加谷さん)
小袋のパスタは100グラム65円ほどだが、業務用パスタは5キロが1,800円ほどで買えて、45%もお得。精米30キロで1万4,000円ほどのブランド米も、玄米なら1万円ほどで買えることが多い。コイン式の無料精米所に行けば、数百円で精米でき、4,000円ほど節約できる。3人家族が1日3杯ずつ米を食べた場合、1カ月で約18キロを消費するので、月2,000円も得だ。
「しかし、品目を選ばないと消費する前に悪くなってしまいます」(加谷さん)
野菜は安売りだからといって大量買いすればフードロスになる可能性がある。また、一度に少量しか使わず消費するのに時間がかかる調味料も買いだめする必要はない。買いだめするものの“メリハリ”を心がけよう。
【節約ワザ2】食洗器導入で年間1万3,000円節約
「水道光熱費がもっとも高くなるのは、暖房代がかかる2月です。11月時点で例年と比べて800円以上高くなっているので、注意が必要です。節約のためにまずおすすめなのが、食洗器の導入です。購入時の初期費用がかかりますが、水道代と給湯代は大幅に節約できます」(加谷さん)
資源エネルギー庁によると、食器を1日2回手で洗った場合(夏場以外は給湯器を使用)、水道代・ガス代で年間2万5,560円。一方、1日2回食洗器を使った場合、乾燥までしても年間1万6,990円。8,570円もの節約になる。
“おこもり生活”で、1日3回食器を家で洗うことになれば、年間約1万3,000円の削減になる。
【節約ワザ3】二重窓化で電気代を年15%減
初期投資は必要だが、「二重窓をつけるリフォームも非常に節約効果が高い」と加谷さん。
「安く建てること優先だった日本家屋は総じて断熱効果が脆弱です。わが家は20万円ほどかけて4つの窓を二重窓にしたんですが、真冬のいま、暖房を消して寝ても、明け方の室温が16度以下にはならないんです。電気代は15%も節約できています」
紹介した節約ワザをさっそく始めてみよう!
「女性自身」2021年2月16日号 掲載